橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

朝日新聞「ゼロ年代の50冊」

なぜか、拙著『「格差」の戦後史』が選ばれました。悪い本ではないと思いますが、一〇年間のベスト50冊に入るようなものかどうか。まあ、ここは率直に喜んでおくことにしましょう。ちなみに一位は、ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』だそうです。
五〇冊の中に、酒や居酒屋を直接に扱った本はありません。しかし、居酒屋好きの人にも楽しめるだろうという本を、二点紹介しておきましょう。
中沢新一の『アースダイバー』は、縄文時代以来の地形を鍵に、東京を読み解き、散策しようというもの。東京の内部がいかに多様であるか、そしてこれが地形とどのように関係しているかが鮮やかに分かります。下町・山の手居酒屋めぐりの参考にどうぞ。ジョン・ダワーの『敗北を抱きしめて』は、敗戦直後の日本社会を描いたドキュメンタリーで、ヤミ市やパンパンなど、戦後の風俗についても多くのスペースが割かれています。
 朝日新聞 ゼロ年代の50冊

「格差」の戦後史--階級社会 日本の履歴書 (河出ブックス)

「格差」の戦後史--階級社会 日本の履歴書 (河出ブックス)

アースダイバー

アースダイバー

敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人

敗北を抱きしめて 上 増補版―第二次大戦後の日本人

敗北を抱きしめて 下 増補版―第二次大戦後の日本人

敗北を抱きしめて 下 増補版―第二次大戦後の日本人

銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

銃・病原菌・鉄〈下巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎