橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

浅草から見る東京スカイツリー

classingkenji2010-03-26

今日は大学で雑用を済ませたあと、久しぶりに下町散策へ。まずは上野駅まで行き、そこから下谷神社前を通って浅草へ。浅草通りから雷門通りに入ったとたん、目の前に建設中の東京スカイツリーが姿をあらわした。もうこんなに大きくなったのか。吾妻橋のたもとからみる姿は、こんな具合だ。現在の高さは三一〇メートルくらい。最終的には六三四メートルになるとのことなので、この位置から見てもアサヒビール本社ビルを大きく上回って、浅草の景観を大きく変えることになる。いくぶん○○○ビルが目立たなくなって、ほっとする人も多いのではないか。
浅草へ来たからには、神谷バーに寄らないと。生ビールとデンキブラン、そして串カツをいただく。平日の二時過ぎだから、地元の高齢者が多い。隣のご老人が、話しかけてきた。最初は、どこから来たのか、よく来るのか、という話から始まって、次第に昔話へ。浅草育ちで、今でも浅草に住むというご老人は、なんと特攻隊帰りだという。もっとも年齢が若く、配属されてすぐに終戦になったため、生きるか死ぬかという目にあったわけではないようだが。耳が少々遠いようで、こちらの話はなかなか通じないから、ほぼ一方的な聞き役。空襲のあと、神谷バー松屋だけが焼け残った町の様子など、いろいろ面白い話を聞かせてもらった。(2010.3.11)