橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

山同敦子『至福の本格焼酎・極楽の泡盛』『愛と情熱の日本酒』

昨日紹介した飲み会でお会いした、山同敦子さんの著書を二冊。
一冊目は、二〇〇二年に出版され、「村尾」「宝山」「佐藤」、そして黒木酒造の「百年の孤独」「山ねこ」をはじめとする一連の銘柄など、今日では広く知られている本格焼酎の数々をいち早く紹介した名著に、新たな取材を加えて編集された文庫本。ただの文庫化ではなく、蔵の七年後の姿をきちんと取材しているところがいい。
二冊目は、これまた近年になって評判を得た「喜久酔」「醸し人九平次」「王禄」「飛露喜」など新進の蔵元を丹念に取材し、蔵元の人となり、造りの個性を描ききった快著。著者自身、「この本を読んで日本酒にハマッタという人がけっこういるんです」というのもうなずける。
酒好きには絶対のおすすめの二冊である。

至福の本格焼酎 極楽の泡盛―厳選86蔵元 (ちくま文庫)

至福の本格焼酎 極楽の泡盛―厳選86蔵元 (ちくま文庫)

愛と情熱の日本酒

愛と情熱の日本酒