橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

上板橋「やきとん ひなた」

classingkenji2010-02-18

今日は、大学で仕事を終えたあと、上板橋へ。野方の名店「秋元屋」で修行を積んだ人が独立し、上板橋に焼きとん中心の居酒屋を出したと知って、行ってみることにしたのである。
着いたのはまだ五時半頃だったが、すでにカウンターは満員に近い。開店したのは、一月五日というから、もうそろそろひと月といったところ。開店当初は友人・知人や秋元屋関係者が来ていたようだが、もうこの手の客に頼る時期ではない。すでに常連がつき始めているということだろう。実際、もう何度か来ているといった雰囲気の中高年男性一人客が何人かいた。
メニューは秋元屋と共通のものが多く、値段も同じくらい。焼きとんは定番の他、かしらあぶら、あぶら、はらみ、ちれ、などと種類が多く、一本一〇〇円。刺身もレバ、タン、ちれなどが揃っている。焼きリンゴ、焼きチーズなど、変わった串や、パテ・ド・カンパーニュなど居酒屋では見かけないメニューも。こうなるとワインも欲しいところだが、コストパフォーマンスのいいワインが赤二種類、白一種類、グラスで注文できる。焼酎や日本酒も、筋のいいものを揃えて充実のメニュー。上板橋に名店誕生といったところだが、L字型カウンター一〇席と、半ばオープンエアのテーブルというこぢんまりとした店だから、周囲の居酒屋とも共存できそうだ。
帰り際に「橋本さんですか」と尋ねられた。「ブログ、毎日見てます」とのこと。「ありがとう。美味しかった。また来ます」と言って出る。上板橋は、これからときどき来ることになりそうだ。(2010.1.28)

板橋区常盤台4-25-1 サンライフ上板 1F
平日17:00〜24:00 土日祝16:00〜 無休