橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

福岡・中州 人形小路

classingkenji2009-10-01

二軒目は、若手の弁護士さん二人と大学の先生の四人で、中州の人形小路へ。ここは狭い通路に居酒屋やバーが密集した、典型的な路地裏飲食店街。その成り立ちについては分からないが、おそらくは戦後のヤミ市起源だろう。これまで、その佇まいに心をひかれながらも、店には入ったことがなかったが、今回は地元の人がいるのでお任せする。入ったのは「味噌汁 田」という店。
間口が狭く、鰻の寝床のような店内に、まっすぐカウンターが奥まで伸びている。味噌汁が自慢らしいが、魚介類の料理が豊富な店である。ここでいただいたのは、あらかぶの煮物。脂とゼラチンの旨さを、こってりした煮汁が引き立てる。添えられた豆腐も美味だ。この小路でもう一軒入ってみたかったが、もう十二時を回っているので解散。博多は広い。一度、三泊くらいして飲み歩きたいものである。(2009.9.19)

「味噌汁 田」
福岡市博多区中洲4-1-19人形小路 
17:00〜2:00 日祝休