橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

吉田類『東京立ち飲み案内』

ご存じ、吉田類さんの最新立ち飲み案内である。全七十二軒を厳選。和風中心の伝統的スタイルと、これにモダンを加味した変形が大部分を占めるが、南欧風のバル、ビストロ、ワインバーなども。老舗もあれば、最近できた店もある。系列店や類似の店も含めれば、これで東京の立ち飲み屋動向は、八割近くカバーされているといっていいだろうか。
行ってみたい店も多いが、なにしろ立ち飲みである。長居するわけではないので、ちょっと遠出はおっくうだ。というわけで、立ち飲みの最近のトレンドは本書全体で押さえた上で、自宅や職場に近い店には実際に行ってみる、というのが、自然な使い方だろう。
税別九五二円というのがうれしい。ギリギリで、大ジョッキ価格(実質中ジョッキのなんちゃって大ジョッキではなく、九〇〇ミリリットル以上の正真正銘大ジョッキ)に収まっている。共著者は「東京立ち飲み倶楽部」。

東京立ち飲み案内

東京立ち飲み案内