橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

東長崎「やきとり大将 どん」

classingkenji2009-07-01

西武池袋線で池袋から二駅目が東長崎。豊島区の最西端にあたるこのあたり、長崎、南長崎という地名はあるが、東長崎という地名はない。なぜこんな駅名になったかというと、九州の長崎と区別するためだとか。古い商店街がある。駅の近くにはバラック飲み屋街の名残のような一角もあり、一度行ってみたいと思っているのだが、夜遅くにならないと開かないのか、灯がついているのを見たことがない。
今日は、駅から北へ少し歩いたところにある、前から気になっていたやきとり屋に入ってみた。
小さな店だ。コの字型カウンターに一一席のみ。串焼きは鳥だけで、大部分は一六〇円と一七〇円。家族三人でやっているようで、親父さんが焼き鳥を焼き、女将さんが酒を用意し、息子らしいのが客に応対する。親父さんは黙々と働いているが、息子の応対はにこやかで柔らかく、和みのある雰囲気をつくっている。
ビールは生が四七〇円で、瓶が六三〇円。酎ハイは三八〇円。焼鳥の他、鶏刺しなどの料理もある。焼鳥は、かなり美味しい部類だろう。見るからに炭火焼きらしく焼き上がり、形・色ともいい。ときおり、サービスでネギ焼や漬け物を出してくれる。客はほとんどが常連のようで、カウンターのあっちとこっちで世間話をしている。常連は、焼酎をボトルで飲んでいる人が多い。小さな子どもが、まるで猫のように歩き回っている。席料のようなものは取っていないらしく、勘定はメニュー通りだった。
私はやきとり好きといってももつ焼き派なのだが、鳥が食べたいときには、ときどき来てみよう。ただし、狭い店でいつも混んでいるようだから、入れるかどうか。遠方の人は、予約を入れてからの方がよさそう。(2009.6.23)

豊島区長崎4-8-13 
17:00〜23:30 無休