橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

中野「ぢどり屋 中野店」

classingkenji2009-06-04

「四文屋」の客に刺激されたわけでもないのだが、新井薬師の次は中野へ。飲み屋街を歩いてみると、新しくできたらしい店が、ちらほら。入ってみようかとも思ったのだが、満員だったり、ちょうど大人数のグループ客が入っていくところだったり。少し歩いた末に、「生ホッピー」の文字に引かれて入ったのが、この店。
カウンターが約一〇席、奥の方までテーブル席が並び、けっこう広い。メニューの説明によると、博多の中州で開業した店から始まったチェーンとのこと。生ホッピー、ホッピーセットとも、三六〇円と安い。ただし生ホッピーは、あまり冷えていない。店員が「生ホッピー、いかがですか」と聞くので、「ちょっとぬるいなぁ」と答えると、「すみません、来週にはジョッキのクーラーが入りますので」とのこと。ということは、三冷の生ホッピーが飲めるようになるということか。期待しよう。
売り物は、ぢどりのモモ焼とたたき。たたきを注文したところ、表面は黒く焼けこげて香ばしく、中はピンク色という、いかにも美味そうな状態で出てきた。味も、歯ごたえがあってまあまあ美味しい。ただし、鳥の素性は謎。近くの客が店員に、「この鶏って、どこの地鶏?」と質問したところ、「どこのということはなくって、『ぢどり』という鳥です」との答え。おそらくは、銘柄鶏クラスの鶏の、かなり育って身が硬くなったもの、要するに親鳥を出しているのではなかろうか。
と思って店のホームページを見たら、案の定、親鳥だと書いてある。そういえば、親鳥を「比内鶏」とごまかして売っていた業者もいた。それにちょっと似ている。もっとも、私は親鳥が大好きだし、美味しかったから文句はないが。

中野区中野5-59-1 
16:00〜23:30 不定http://www.fc-zidori.com/index.html