橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

新井薬師「四文屋」

classingkenji2009-06-03

あちこちの店を訪問している、ニューウエイブやきとりチェーンの四文屋だが、発祥の地は新井薬師らしい。一度行ってみたいと思っていたのだが、ようやく空き時間に行くことができた。
何の変哲もない店構えで、店内の雰囲気も、他の四文屋と同じ。メニューも値段も、基本的には同じ。当たり前といえば当たり前だが、安心感がある。残念ながらホッピーがないので、ビールを注文。まず注文したレバ刺しは、四文屋全店共通のことだが、新鮮そのものでうまい。しかし、タンとカシラの塩焼きは、ちょっと疑問符がつく。カシラはきれいに焼き上がらずに水っぽさが残る。逆にタンは、焼きすぎて焦げている。タレ焼きのシロは、普通に美味しかった。四文屋は店員のローテーションがあるらしいので、いつも同じとは限らないが、今日はちょっと期待はずれ。
新井薬師は小さな街だ。しかし、ちょっと離れたところに中野という繁華街がある。その意味では、地方都市の郊外に似ている。常連客らしい女性二人組が、店員に「これからタクシー乗って中野に遊びに行くの」と話しかけている。まるで、地方都市郊外の居酒屋での会話。ちょっとうれしくなってしまった。(2009.5.26)

中野区上高田3-40-5
15:00〜24:00 月休