橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

有楽町「ニュートーキョー」のマイルド・スタウト

classingkenji2009-05-15

ニュートーキョーは一九三七年創業で、大規模外食チェーンのさきがけとなった会社である。サッポロ系列のようにみられることがあるが、独立した会社で、大阪ではスーパードライを出していたりする。サッポロビール園や恵比寿ビアステーションは、サッポロとの合弁会社が経営している。
以前の記事で、ギネスの販売権がキリンに移ったこと、このことに関するサッポロ首脳陣の発言からみて、サッポロはスタウトを開発中なのではないかと書いたが、この推測は当っていたようだ。この店の前を通りかかったところ、「ジャパニーズ・スタイル・スタウト マイルド・スタウト」との垂れ幕がある。これは飲んでみないと、というわけで入ってみる。丸いゴブレットに入って出てきたその一杯は、黒いとはいえ漆黒ではなく、わずかに赤く光る。泡は細かいが、さすがにギネス並みとはいかない。味はスムーズで、ギネスに近いが、よりエステル香を感じる。よくできたスタウトで、ある意味、ギネスよりスタウトらしく、かといって古いスタイルのスタウトほど強くはない。
「ライオン」でも出しているとのこと。市販の予定はないのだろうか。(2009.5.11)