橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

井の頭線乗客のマナー

classingkenji2009-05-12

銀座や渋谷周辺で飲んだときは、渋谷経由で帰ることが多い。井の頭線で下北沢まで行き、小田急線に乗り換えるのだが、いつも気になることがある。あまり指摘されないように思うのだが、井の頭線乗客のマナーは最低である。
電車の中はスカスカで、まだまだ人が乗れるはずなのに、中へ詰めようとしない。さほど混んでいないのが分かっているにもかかわらず、「ここはもう乗れないよ」とアピールするかのように、開いた扉の上側に手をついてみたり、半身だけ車内に入れてみたり。窓から車内をみれば、中にまだまだスペースがあることは一目瞭然だ。そんなに、ゆったり乗車して帰りたいのか。閑静な住宅地と都心を結ぶ路線として、高級イメージは都内でもトップクラスだと思うが、マナーがこれでは幻滅だ。もっとも、他人のことを考えないのが山の手文化だ、とはいえないこともないのだが。(2009.5.1)