橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

金目鯛

classingkenji2009-04-16

金目鯛が、いちばん美味しい季節である。真鯛もそうだが、五月頃に産卵の季節を迎えるので、今がいちばん栄養を貯め込んで味がのっている。金目鯛は脂とゼラチンが多く、甘辛い濃いめの味付けに耐える力があり、また、そう味付けした方が美味しい。そのためには、大量の醤油と味醂、砂糖などを投入した煮汁が必要で、だからたっぷりの煮汁を毎日繰り返して使うことのできる料理店には、ちょっと敵わない。しかし、XO醤蒸しなら美味しくできる。フライパンか平鍋に薄く油を敷き、金目鯛をのせ、XO醤を紹興酒で溶いたものを回しかける。蓋をして弱火で蒸し焼きにし、水分が少なくなったら、焦げ付かないように紹興酒か日本酒を追加する。火が通ったところで香菜を載せ、醤油にニョクマムを少し混ぜたタレを上からかけ回して出来上がり。