橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

祖師谷の飲み屋横丁

classingkenji2009-04-13

小田急線の祖師谷大蔵駅は、新宿から行くと経堂の二つ先で、成城学園前のひとつ手前。近くの町名は、北側が祖師谷、南側が砧、少し離れて大蔵。高級住宅地から木賃アパート、公営住宅までが共存する、モザイク的な地域である。商店街は活気があり、人通りが多い。かつて近くに円谷プロがあったため、ウルトラマンが売り物で「ウルトラマン商店街」と称している。
駅から北側に出て、商店街を一−二分ほど歩いたところ、右側に細い路地がある。ご覧の通り、昭和四〇年代を思わせる飲食店街。一階には食堂、居酒屋、中華料理屋などがあり、二階にはスナックがいくつか。一階の居酒屋街で二軒ばかり入ってはみたが、地元以外の人に紹介するほどの店かどうか。もう少しみきわめてみたいので、今日はこの雰囲気を紹介するだけにとどめておく。この路地に入ってくるのは、地元に古くから住む自営業者が多いようだ。隣でだいぶ酔っぱらっている六〇歳代の客に聞いたところ、四〇年前くらいにできた飲食店街で、再開発の話が持ち上がっているとのこと。(2009.4.9)