橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

『東京銘酒肴酒場』(三栄書房・2008年・1200円)

居酒屋ムック『古典酒場』の、これまで発行された五冊の総集編ともいうべき居酒屋ガイドブック。ホッピーと酎ハイ、もつ焼きと煮込み系の下町大衆酒場を中心に、多数の店を紹介している。A4版と大きいので、開いて歩き回るには向かないが、飲みながら読むにはちょうどいい。とくに、老眼には(笑)。
全体は都心部エリア、東東京エリア、西東京エリア、南東京エリアと四つのセクションに分かれているのだが、下町大衆酒場が中心だけに普通の分け方だと東東京ばかりになってしまう。このため、赤羽や十条までが西東京に含められてしまっている。南東京など、わずか六軒だ。この構成からも、本書のスタンスがよくわかるというものである。
なお、巻末には例の「居酒屋通ブログ五人衆」おすすめの居酒屋リストがあり、私も登場しています。

東京銘酒肴酒場―古典酒場探訪ガイド (SAN-EI MOOK)

東京銘酒肴酒場―古典酒場探訪ガイド (SAN-EI MOOK)