橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

tanacalm

classingkenji2008-11-25

タナカさんという若い女性がひとりで切り盛りする、落ち着いた雰囲気のバーである。店名は、店主の名前と「静けさ」「落ち着き」という意味の英語をつなぎ合わせたもので、実にこの店にはふさわしい。タナカさんは、穏やかな癒し系のキャラクターで、仕草も落ち着いて美しい。バーといっても、ウイスキーが数種類、ワインや焼酎、カクテル類が何種類かあるだけで、メインはギネスビール。サーバーから、定石通り二回に分けて時間をかけて注いでくれるギネスは温度も泡の状態も文句ない。しかも、一パイントが八〇〇円(ハーフパイントは五〇〇円)。最近では、一〇〇〇円以上取る店も珍しくないのに、この値段はありがたい。チャージもないので、帰りに一杯だけいただき、八〇〇円だけ払って出るという使い方もできる。新しい店だが、早くも経堂住人のたまり場みたいになっている。経堂駅の北側、すずらん通り商店街に入って1-2分、鯛焼きで知られる和菓子屋さん「甘ぼう」のところから右に入ってすぐの右側。大きなギネスの看板が出るようになって、以前よりは少し場所がわかりやすくなった。(2008.11.19)

世田谷区宮坂3-18-6 
17:00〜25:00 日休