橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「三州屋 銀座店」

classingkenji2008-11-13

今日は、大阪出張から帰った、その足で銀座へ。午後五時の待ち合わせまで、少し時間がある。こんなときには、「ライオン銀座七丁目店」あたりで時間をつぶすことが多いのだが、今日は居酒屋気分なので「三州屋」へ。ランチの時間から通しで営業しているので、昼から飲める貴重な店である。ビール大瓶(七〇〇円)には、魚のあら煮のお通しがつく。一品だけ頼んだ料理は、マグロのぬた(写真・五五〇円)。おそらく生のメバチと思われるねっとりしたマグロの赤身に、色の濃いめの味噌とワケギが織りなすハーモニー。食事前のビールと合わせる前菜にはぴったり。
まだ四時すぎだから、食事の客もいる。五〇代後半のサラリーマンは、この店の看板のひとつ、季節のカキフライ定食を食べてさっと帰って行った。すでに盛り上がっているグループも。客は次から次へと入ってきて、五時前にはもう席が七割方埋まってしまった。ちょっとぜいたくな気分になる時間のつぶし方だが、勘定はわずか一二五〇円。宴席の前や後に、気分転換に立ち寄るにはぴったりの店。もちろん、長居にも向く。(2008.11.7)

中央区銀座2-3-4
11:30〜22:30 日休