橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

目黒「テング酒場」

classingkenji2008-11-10

以前も書いたことがあるが、「天狗」のテンアライド社が新たに始めた新業態。豚のモツ焼きと焼鳥をメインに、ありふれた居酒屋料理とホッピーを出す、大衆酒場を模倣した店である。ホッピーセット(三九九円)は写真の通り、私好みの「準・三冷」スタイル。といっても、氷が少しばかり多すぎるか。
もつ焼きが、まずい。肉の形や大きさにムラがあり、焼きすぎで硬い上にところどころ焦げている。カシラ、タン、ハラミを注文したが、よく見ないとどれがどれだかわからない。口に入れて噛むと、焦げた味がまず口中に広がって、どれもよく似た味である。すぐれた大衆酒場というものは、一見簡単なようにみえても、実はすぐれた調理技術と経験に裏打ちされている。簡単に模倣はできないのである。
しかし店員の技術が上がってくれば、どうだろう。居酒屋不毛の駅前などに進出してくれれば、空白を埋める存在になるかもしれない。(2008.11.3)

品川区上大崎2-15-22 神谷ビルB1F
月〜土 17:00〜23:30
日祝 16:30〜23:00
http://www.mapion.co.jp/c/f?uc=4&pg=1&grp=teng&ino=BA577591