橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

恵比寿「浜椿」

classingkenji2008-11-08

恵比寿横丁の中ほどにある中華料理の店。ご主人はなんと、あの、「中華の鉄人」石川敏行さん。当然、料理はうまい。牛もつ豆腐は煮込んだ牛もつをあんかけ仕立てにし、小鍋に入れた豆腐に載せてさらに煮込んだ逸品。地アナゴ甘辛は、下味をつけた穴子を揚げて、甘酸っぱいたれに絡めた一品。料理は多くが六〇〇円均一で、一部八〇〇円とリーズナブル。ここでぜひ飲みたいのは、生ライチサワー(写真・六〇〇円)。ライチをリキュールに漬け込んでから凍らせ、クラッシュしてからサワーの上にトッピングするという手のかかったもので、普通の居酒屋のサワーとはまったく異次元のカクテルである。同じように手のかかった生ビワサワーも美味しい。
この店、「古典酒場」の座談会でご一緒しているワイタベさんがアドバイザーであるらしい。いい仕事をしている。(2008.11.3)