橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

鴨ささみの湯引き

classingkenji2008-07-19

パリの、マルシェと称するスーパーマーケットでは、日本ではみたことのない食材をいろいろ売っている。日本では滅多に見かけない仔牛は、ごく普通の食材で、肉はもちろんのこと、レバーやハツも普通に売られている。羊もいろいろな部位、それにやはりレバーやハツなど。日本では鴨といえば胸肉かもも肉だが、こちらのスーパーではハツやコンフィになった骨付きもも肉をよく見かける。先日見つけて作ってみたのが、これ。鴨ささみの湯引きである。鴨肉のささみは、見かけはちょっと大きめの鶏のささみの色を赤っぽくしたようなもので、たいへん美しい。こちらの肉が生で食えるものかどうか不安なので、熱湯にくぐらせて表面だけ火を通し、水にさらしてさましてから、薄切りにした。山葵醤油でいただく。ポン酢があれば、もっと美味しかったかもしれない。薄めの赤ワインに合うが、白でもいいだろう。こんな食材がいろいろ手に入るので、料理するのが楽しく、レストランへ行くことが少なくなってしまった。