橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

ロンドン「ダブ」

classingkenji2008-07-01

このブログを読んでいただいている「呑み助」さんに教えられていったのが、このパブ。ロンドンの西方、ハマースミス橋の近くで、入り口は狭い路地にあるが、店の奥はテムズ川に面したテラスになっている。残念ながらこの眺めのいいテラス席は、週末の今日は地元客と思われるグループでいっぱい。少しだけ川のみえる窓際の席に座った。これでも、十分気持ちがいい。やはり、地元にいる人からの情報は信頼できる。
ビールは、ロンドンプライドを中心に数種類。ロンドンプライドは何度か飲んだが、温度や熟成のタイミングなど絶妙。料理も、英国パブにしてはメニューのバラエティがある。ラムのローストを注文したところ、大きな塊を焼いたものをスライスし、ソースをかけたものがたっぷりの野菜とともに皿に盛られ、ミントソースが添えられてきた。レストラン級に美味しい。英国には美味しいものがない、しかも高いと良くいわれる。しかし料理の美味しいパブを選んでいけば、けっこういいものが食べられるし、しかもビール込みの値段ならば高くはない。ただし、行くなら2人以上で行くこと。料理1皿は、日本の2人前くらいはある。エールが1杯2.7ポンド、料理が8ポンドとすると、合計13.4ポンド(2800円)。泡のない英国エール1パイントは、実質的には日本のふつうの大ジョッキに近い量があるから、「大ジョッキ付きランチ2人前」が2800円という計算だ。これなら安いといえる。これが一人だと、2000円以上払って、料理を半分近く残す羽目になるから、どこかでサンドイッチでも食べてからビールだけ飲みに行くのが得策。パブの使い方は、工夫がいる。(2008.6.22)

The Dove
19 Upper Mall,  Hammersmith, London,  W6 9TA