橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

祐天寺「ばん」

classingkenji2008-05-02

この日の二軒目は、祐天寺の「ばん」。二月に続いて、二回目の訪問。驚いたのは、店主も店員も、私のことを覚えていたこと。大繁盛店だというのに、ご主人は手が空くと客に話しかけ、いろいろ気を遣ってくれる。三人の中国人女性もチームワークよく働いていて、注文でストレスを感じることはまずない。客単価が安く、混雑する居酒屋ではなかなかできないことだが、これができるかどうかで居酒屋の居心地が決定的に違ってくる。
写真は、もつ焼きメニュー。どれも美味しいが、赤身と脂身、その中間(赤白の層になっているからか、「フランス」と名づけられている)と三種類あるカシラがおすすめ。まずは、この三本を注文するといいと思う。豚のしっぽを味噌味でピリ辛に煮込んだ「とんび」も美味しい。「ばん」の開店は午後四時だが、五時頃にはジャンパーやラフなシャツなどを着た地元の中高年たちでほぼ満員になる。開店直後から飲み始めた常連たちが帰り始める七時頃からは、スーツにネクタイ姿のサラリーマンや、若者たちが増え始める。(2008.4.14)

目黒区祐天寺2-8-17
16:00-23:00 日祝休