橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

丸の内「赤垣屋」

classingkenji2008-03-04

今日は、外資労働組合協議会の定期大会で講演するため、熱海へ。一〇〇人ほど集まった組合役員たちを前に、格差拡大と日本の階級社会化、そして労働組合の果たすべき役割について、ひと通りお話をする。うっかりパワーポイントのファイルをVista対応の新しい形式で作ってしまい、開けないというトラブルに見舞われたが、pdfファイルを用意していたので、事なきを得る。まったく、バージョンアップでファイル形式を変えてしまうとは、困ったソフト会社である。終わった後は、新幹線で東京へ。東京駅近くのホテルでNHKの取材を受け、格差拡大と社会不安についてお話をする。前著『新しい階級社会 新しい階級闘争』で、電車の中で自爆テロを計画していたとされる若者について書いたのだが、記者によると昨日判決が出て、自爆テロを計画していたという検察の主張については認定されなかったとのこと。
その後は、まず大阪の有名な立ち飲みの老舗、赤垣屋がTOKIAビルの地下に出したという店へ行ってみることにする。まずはキリン一番絞りの生ビール(中ジョッキ四〇〇円)を飲みながら、どて焼き(一本一〇〇円)と、黒豆の枝豆(一五〇円)をいただく。土手焼きは、とろりとした食感とこってりした味で、なかなか美味。黒豆も、コストパフォーマンスが高い。名物の串かつは、牛肉一八〇円、えび三八〇円、レバかつ一五〇円など、やや高めなのだが、けっこうボリュームがあって、美味しい。ただし、店員が注文を聞き間違えたり、他の客の注文したものをもってきたりするミスが多い。赤垣屋のホームページに書かれていた、大阪の立ち飲み店の値段に比べると、やや高め。場所が場所だけに、仕方がないかもしれないが。ちなみに、このビルの地下食道街の入り口にベルギービールを飲ませるビアレストランがあるが、ここは三三〇mlの瓶ビールを一六〇〇円で売るという、東京一、いやおそらく世界一高いビール専門店である。(2008.2.23)

赤垣屋
千代田区丸の内2-7-3 東京ビルTOKIA B1
11:00〜14:00, 15:00〜23:00 無休