橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

阿佐ヶ谷「鳥正」

classingkenji2008-02-04

今日は、知人が新しく開いた店へ行くため、阿佐ヶ谷へ。といっても、料理は軽いつまみ程度になりそうなので、その前に一軒行っておこう。場所は、阿佐ヶ谷駅の南口を出て、左側へ信号を渡ったところから始まる細い通り。飲食店が連なる阿佐ヶ谷一番街である。阿佐ヶ谷の飲み屋街といえば、これまで北口の方ばかりで、こちらへ来るのははじめて。一軒だけ寄るなら、やはりやきとり屋だなと思いつつ歩くと、すぐに見つかったのが、通りから少し右に入ったところにあるこの店。見るからに「いい居酒屋」というオーラが出ている。中に入ると、右側に短いカウンター、左側にはテーブルが五卓ほどあり、奥には小上がりも。料理メニューの筆頭は串焼きで、れば、たん、はつ、かしら、しろ、なんこつが一一五円、つくねとねぎまが一五七円など。そのほかにも、刺身や煮物、揚げ物、漬け物などメニューは豊富で、居酒屋によくあるようなものはすべて揃っているのがうれしい。あっさり味噌味の煮込み(三六七円)も美味しく、ポテトサラダ(三六七円)は手造りの暖かい味。ビールはサッポロで、大生七三五円、中生五二五円。ジョッキは大きめで、文字通りの大と中である。このほかに特大(八四〇円)も。酒は本格焼酎と日本酒がそれぞれ数種類、それにサワー類とウイスキーなど。串焼きは、美味い。とくにカシラは、これまで食べた中でベストの部類に入る。特製のニンニク味噌が添えられ、好みに応じて上からかけて食べるというニンニク醤油の入った醤油差しも添えられる。近所に住んでいたら、足繁く通うに違いない。お客さんは、スーツにネクタイ姿のサラリーマンや、いかにも杉並という感じの品のいいご夫婦など。(2008.1.31)