橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

毎日新聞社横の屋台

classingkenji2007-11-03

千住の次は、竹橋の毎日新聞社へ。毎日新聞社の入っているパレスサイドビルの横の吹きさらしに、酒と簡単な肴を出す屋台がある。ここで最後の締めというわけである。もちろん、記者たちのたまり場である。一般人が足を踏み入れる場所ではない。記者に連れられてきた某作家は大喜びしたという。無機質なビルの壁面。正面には首都高の上を轟音を立ててトラックが走り抜ける。時折、荷を積んだトラックが外へ出て行く。何人かが酒を飲むそばで、煙草を吸いに来た記者たちがたむろしている。こちらはビールケースに腰を下ろし、アイスボックスから取り出したビールを飲む。どこの酒場にもない、現代の異界といった趣である。どうしても行ってみたい人は、パレスサイドビルの首都高に面した目立たない鉄の扉を開けてみよう。異次元体験ができるはずだ。