橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「房’s 西新宿店」

classingkenji2007-10-30


「房's」は都内に四店を展開するワイン・ダイニング。ほかに、「はかりめ」や「鮨丸」などの姉妹店もある。ワインを一〇〇種類以上おき、グラスで飲めるものも三〇種類ほど。グラスワインは六〇〇−一〇〇〇円が中心で、地域・タイプともいろいろ揃っているから、飲み比べが楽しめる。写真のように温度管理されたケースからタップでワインが出てくるようになっていて、カウンターに座ればラベルを見ながら選べて楽しい。ボトルワインの価格は、安いワインでネットショップ最安値の二倍程度、高いものだと一・五倍程度と良心的。たとえば、ドンペリのボトルは一万五千円である。料理も、鴨の冷製・赤ワインソース、黒毛和牛のカルパッチョ、イベリコ豚のローストなど、本格的なものが並び、八〇〇−一三〇〇円が中心。リーズナブルだが、いろいろ飲めばそれなりの会計になるから、ひんぱんに通うような店ではない。今日は、最初に生ビールを飲み、ワインを私が六杯、妻が五杯飲み、一万四千円。客には若い人が多い。ここに来ると、オヤジたちが安い店で我慢している(それでも十分楽しんでいるのかもしれないが)のに、またフリーターで貧乏生活をしている若者がたくさんいるというのに、金のある若者もけっこういるものなんだなと思ったりする。ワインリストは、ぐるなびでも見ることができる。