「東京画」(ヴィム=ヴェンダース監督・1985年)
これは小津安二郎に傾倒するドイツの映画監督が、現代の東京に小津の足跡をたどるドキュメンタリーである。監督自身がナレーションを担当。笠智衆とカメラマンの厚田雄春へのインタビューも収録され、小津映画の撮影の様子が詳細に語られている。撮影されたのは1983年で、当時の東京の風景や風俗が記録されているのもおもしろいところ。ヴェンダースは蝋細工の食品サンプルにずいぶん関心を持ったようで、工場を訪ねて製造工程を克明に記録している。新幹線が古い民家のそばを通るところや、原宿の竹の子族なども登場し、記録映像としてもおもしろい。さて前半部分に、飲み屋街のシーンが出てくる。そこに重ねられるのは、次のようなナレーション。
小津映画には よくこんな路地が登場する
父親が酒を飲むシーンだ
まず いつもどおり撮影してみた
その後 小津風に撮ってみた
小津が常に使った50ミリは やや望遠効果があるレンズだ
まったく違って見える
思いもしなかったような風景だ
私もこのブログのために、また純粋に趣味として、よく居酒屋街の写真を撮るが、とかく上半分のような写真になりがちだ。手ぶれしやすいので難しいのだが、たまには小津風を意識して撮るようにしたいものだ。
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