橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

江古田「四文屋」

classingkenji2007-09-26

学期はじめで忙しい。八時半まで研究室で仕事をし、ホッピーとモツ焼きを求めて近所の「四文屋」へ。前回は二月だったから、ずいぶん久しぶりだ。風で赤ちょうちんが揺れている。今日は、学生らしいカップルやグルーブが多い。ここは、日大芸術学部の近く。写真や映画を論じあっているカップルがいる。集団で二階に上がっていく学生たちも。その他には、四〇代のカップルと、三〇代のサラリーマン三人組など。「四文屋」はホッピーを置かない店が多いが、ここには置いてある。細身のタンブラーに氷と焼酎を入れて出す。焼酎は、もちろんキンミヤ。この店でいちばん美味しいのは、レバーだろうか。串に刺した刺身、ちょい焼き、よく焼き、いずれも量があって一〇〇円。「四文屋」はどこでもそうだが、店員はいずれも若い男性で、態度がよく、楽しみながらも真面目に働いている。「四文屋」を掲げる店は少しずつ増えているようだが、もう何軒になったのだろうか。小田急線にも、進出してきてほしいものだ。