橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

勝沼「ぶどうの丘」

classingkenji2007-09-16

勝沼は、かつては勝沼町だったが、現在は甲州市の一部。ここは日本最大のぶどうの産地であり、ワインの産地である。甲府盆地の東端に位置し、南向き・西向きの斜面があって寒暖の差が大きいことから、良質のぶどうを産する。最寄り駅は中央線の「勝沼ぶどう郷」駅で、駅の正面に温泉と宿泊施設、コンサートホール、レストラン、そして巨大なワインカーブなどを備えた施設「ぶどうの丘」が見える。ただし、正面ですぐ近くのように見えるのだが、間に川や急斜面があって、まっすぐたどりつくことは不可能。説明しづらいのだが、線路沿いを甲府方面に進み、少し遠回りをしてから行くことになる。実は、毎年ここでゼミ合宿をしている。今年も、一泊二日の日程で訪れた。夜は展望レストランで食事。学生たちには宿泊代と食事代だけ負担してもらい、ワイン代は私が出す。これも、毎年の習わしである。まずは、「ルバイヤート甲州シュールリー」、ついで大和葡萄酒の「古代甲州」、次は赤で「ルバイヤート・ルージュ」、最後は奮発してシャトーホンジョーの「果王」の赤。今年の学生は、けっこう酒を飲む。飲まない二人を除き、私を含めて九人で六本だから、まあまあだ。
翌日、ゼミが終わったあとは一人で地下のカーブへ。写真の通り、巨大なトンネルのようなカーブに、勝沼ワインが百数十種目類、数千本も並ぶ。一一〇〇円の試飲容器を買うと、好きなだけ試飲ができる。いつものように甲州の白を数本買い、その後はまた展望レストランへ。このレストランは絶景。おそらく、日本で最も景色の良いレストランのひとつだろう。ワイン好きなら、ぶどう畑を眺めながらワインを飲むという至福のひとときが味わえる。宿泊は二食つきで一万円ちょっとと安いため、とくに週末は半年前くらいに予約した方が良い。(2007.9.13)