橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

人世横丁「最上」

classingkenji2007-06-17

人世横丁では、かなり古い方の店らしい。暖簾には田舎風小料理とあるが、ちょっと変わった煮物などを出す。この日いただいたのは、すかんぽと油揚げの煮物。「すかんぽ」は「いたどり」ともいい、たで科の多年草。私の田舎では、小学校の行き帰りの道によく生えていて、茎をポキッと折っては皮を剥いて食べた。ちょっと青リンゴのような香りがして、酸味がある。これを煮物にしたものは、初めて食べた。たしかにこれは田舎料理である。
こちらの女主人は、人世横丁商店会の会計係を務める中心人物の一人で、『かわら版 人世横丁』を紹介する新聞記事にも登場しておられた。少し話を伺ったが、最近は若い人の店も増え、さらに最近取り壊されたひかり町通りから移ってきた人もいるとのこと。人世横丁も活気が出てきたようだ。初めてだとちょっと入りにくい雰囲気だが、思い切って入ってみよう。