橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

「三福」

classingkenji2007-06-06

池袋西口を出て、すぐ。前回は編集者と一緒で二階のテーブル席だったが、今日は一人で一階のカウンターに座る。まずハイボールを注文。これは下町風のハイボールではなく、ウイスキーソーダで割ったもの。作っているところを見ると、ニッカウヰスキーをペットボトルから注いでいた。かなり色が濃い。ダブルどころかトリプルに近く、アルコール度数が十二〜三%はありそう。これは酔ってしまいそうだと慎重に口に運ぶ。カシラとシロ、ガツ、ナンコツを焼いてもらい、二杯目は「黒酎ハイ」を注文。これは酎ハイに黒ビールを少し加えたもの。写真のとおり、見かけは黒ホッピーに近く、モツ焼に合う。
前回覗いたときは、スーツ姿よりジャンパーが多かったが、今日はスーツにネクタイ姿が中心。奥のテーブル席には女性を含むグループもいたが、カウンターに座っているのは全員が四十代から六十代の男性。スーツとカジュアルの比率は、二:一程度。客層は「ふくろ」とほぼ同じで、池袋サラリーマンと労働者の憩いの場という趣である。モツ焼がまあまあ旨く、刺身もいろいろおいてあるという私好みの居酒屋である。