池袋のヤミ市
敗戦直後、池袋には大規模なヤミ市が形成された。現在、池袋東口には大きな広場があるが、ここがヤミ市だった場所。名前を「池袋連鎖市場」といい、店舗数は約二八〇軒、そのうち五五%が飲食店で、さらにその八割が飲み屋だったという。そのヤミ市のようすが、池袋駅から歩いて五分ほど、豊島区勤労福祉会館七階の豊島区立郷土資料館に縮尺二〇分の一の模型で再現されている。再現されているのはヤミ市の南側で、飲み屋よりも雑貨屋や食料品店の多かった場所。現在の、みずほ銀行と駅の間あたりである。意外にTシャツにズボン姿が多いが、復員兵や米兵の姿も見える。赤いドレスを着た女は娼婦だろうか。人々に動きがあり、マーケットの活気がうかがえる。
一九四九年、豊島区は駅前を不法占拠していた店舗の撤去を通告、立ち退きになった店舗は、ひかり町通、美久仁小路、栄町通り、人世横丁へと移転していった。こうして池袋の飲み屋街が生まれるわけである。(2007.2.22)