橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

佐々木道雄『焼肉の文化史』

これは、かなり衝撃的な本である。焼肉や焼とん、ホルモン料理の由来などについての俗説を精緻に検討し、その大部分を否定・修正している。たとえば、ホルモンは「放るもん」から来たとか、モツ焼きはヤミ市で韓国・朝鮮人が始めたとか、プルコギは韓国焼肉だとか。そういった俗説を聞いたことがあって、ちょっと腑に落ちないものを感じている人は、ぜひ読むべきだ。
もちろん、自分の大好きなモツ焼きの由来を知りたいという人も、読むといい。謎解きの過程はスリリングで、読み物としても十分楽しめる。(2007.2.8)

焼肉の文化史

焼肉の文化史