橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

怒濤の酒呑み隊『東京 朝から飲める店・昼から飲める店』

タイトルをみて、思わず買ってしまった。今後、力を入れなければならない研究対象である。体が資本とはよく言ったものだ(笑)。
赤羽の「いこい」「まるます家」、銀座の「三州屋」、池袋の「ふくろ」、御徒町の「大統領」などの有名店を押さえ、さらにガード下や駅前などの二四時間営業の店をいくつか発掘しているところは、役に立つ。しかし、掲載されている店の約半分は、ランチタイムのある料理店、デパート内の店、そば屋、ビアホールなど。こういう店で昼から飲めるのは当たり前で、本の性格があいまいになってしまった。とはいえ、行ってみたくなった店が何軒もあった。一二〇〇円と安いことだし、手元にあって損はあるまい。

東京 朝から飲める店 昼から飲める店

東京 朝から飲める店 昼から飲める店