橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

御徒町「佐原屋」

ガード下はしご酒、二軒目はここ。御徒町の老舗大衆酒場で、戦後東京のグルメガイドの元祖といっていい『東京いい店うまい店』(一九六七年刊)にも「これこそ勤労者の日々のリクリエーション用の店」として紹介されている。かつては客がそれぞれ外側を向い…

有楽町「登運とん」

思い立って、久しぶりに入ってみた。有楽町から日比谷へ抜けるガード下の名店だ。一九五三年創業という老舗で、もつ焼きともつ煮込みがメイン。このあたりのガードは昌平橋に次いで古い一九一〇年に完成したもので、曲率半径の大きいゆったりしたアーチが実…