橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

新興チェーン居酒屋の系譜

チェーン居酒屋の先駆者である「天狗」と「養老乃瀧」は、ある時期まで居酒屋界の両横綱とも評されたが、一九九〇年前後から新興のチェーン居酒屋が台頭し、やがて追いつかれ、追い越されていく。その起点は、七三年に一人の男が札幌で開店した小さな居酒屋…

八起

赤羽で「まるます家」の次に好きな店が三軒ほどあるが、ここはそのひとつ。東京の数ある横丁のなかでも、もっとも成熟した雰囲気のOK横丁のなかほどにある名店だ。 店は大きい。一階は長大な対向カウンターとテーブル席。二階にもテーブルや小上がりがある…

「まるます家」

久しぶりにやって来た。まだ明るいうちから、行列ができている。周囲の商店街も、活気がある。居酒屋が、ますます増えている。一軒の居酒屋が商店街に人を呼び込み、商店街を活性化させたという、奇跡のような現実。行列だと行っても、客の回転は比較的速い…

両国 大相撲観戦後の居酒屋事情

この日は久しぶりの全面休日。まずは上野公園へ行き、そこから散歩しながら浅草へ。ちょうど三社祭の最終日で、浅草は大賑わい。地元の人も、日本人観光客も、外国人も、みんな祭りを楽しんでいる。しかし、どう見ても地元の人がいちばん楽しそうだ。若者も…

明治神宮の酒樽

研究会で参宮橋のオリンピック記念青少年センターへ行くことになった。ただ行くだけではつまらないので、カメラを持って新宿から歩くことにした。代々木の先から明治神宮に入る。ここは人工林だが、すでに原生林のような風格。手を入れないだけに、実に多様…

「呑禅 二号店」

どこで飲もうかと池袋を歩いていて、この店が目に入った。 同じビルの2階から上は「清瀧」で、一階と地下のこの店は、「清瀧」の廉価バージョンということらしい。 確かに、安い。エビスビールの中生が三八〇円(黒ラベルは三六〇円)、サワー類・焼酎・サワー…

ハイボール

ハイボールが人気である。どこのスーパーでも、炭酸水を売るようになった。これから、ハイボールの季節だ。夏はビール、というのは正しいが、本当に乾いたときは、ビールですら喉にしつこく感じることがあって、そんなときはハイボールか酎ハイがいい。 最近…

稚鮎

この季節になると毎年作るのが、稚鮎を使った酒肴である。 まずは、素焼きに山葵をあしらい、上から醤油を掛け回したもの。もちろん養殖物だが、弱火で少し時間をかけて焼けば、すっきりした味に仕上がる。濃醇な酒がいい。これとは別に作ったのは、山椒煮。…