橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

本郷「鮮魚屋」

今日は研究会で本郷へ。ちょっとだけ飲んでいこうということになり、入ったのがこの店。「伊豆下田漁師の店」と称し、姉妹店が下田の「釣り舟 靖丸」をはじめ都内にも三店あるとのこと。 土曜日は客が少なく、日曜は休みだから魚を使ってしまおうということ…

日本酒フェア

サンシャインシティで開かれた日本酒フェアへ行ってきた。全国新酒鑑評会公開利き酒会と同時開催。日本酒フェアの方は各都道府県の酒造組合と関連団体が、ブースで広く市販されているクラスの大吟醸までを試飲させてくれる。いちばん賑わっていたのは、愛媛…

江古田「笑雲」

江古田にいい店ができたと噂には聞いていたが、なかなか行く機会がなかったのが、この店。今日は大学の酒好きの集まりで、初めて行くことができた。ビルの二階にあり、テーブルが三つとカウンター八席くらいだろうか。白木中心のインテリアで、照明の具合も…

週刊ポスト「大人の極楽居酒屋 全国73」

いま発売中の『週刊ポスト』の特集記事です。巻頭は、鈴木宗男と吉田類の異色対談。そのあとは、まず東京、そして全国の居酒屋を、久住昌之、倉嶋紀和子、なぎら健壱、森下賢一、吉田類、渡邉和彦、そして私の七人が紹介します。私は東京の居酒屋はパスして…

丸の内「東京うりずん」

今日は、英国からのお客さんとこの店へ。日本には年に何回か来る人で、日本料理はひととおり食べているはずだが、沖縄料理は食べたことがないということで、この店にした。 本店は那覇にある人気店。メニューは豊富で、パパヤーイリチ、ミヌダル、中身の吸い…

読書&音盤日記 更新再開

長らく更新をお休みしていた「橋本健二の読書&音盤日記」ですが、先日から更新を再開しています。さしあたっては、都市論・東京論関係の本が中心です。興味のある方は、どうぞ。

富山「酒肆 真酒亭」

富山居酒屋の旅、最後はこの店である。「満寿泉」の蔵元も、古くからつきあいのある店として名前を挙げておられた。富山市を代表する日本酒の店である。いちばんの自慢の酒は、桝田酒造店が富山錦という珍しい品種の米を使って醸した「みゃあらくもん」。純…

富山「米清あら川」

次に入ったのは、富山駅に近い「米清あら川」。本店は魚料理が売り物の老舗割烹だが、こちらは同じ素材を使ってシンプルな料理を出し、酒の種類を増やした居酒屋バージョンといった店である。 バイ貝の刺身は、肝を溶いてネギと醤油で味を調えたタレでいただ…

富山「桝田酒造店」

「満寿泉」で知られる酒蔵を訪問することにした。富山市街の北、神通川の河口に近い岩瀬という街にある。かつて北前船の交易で栄えた廻船問屋街である。その名が全国に知られるようになったのは、四代目社長の桝田敬次郎さんの代からで、三盃幸一杜氏ととも…

富山「石坂善商店 酒家蔵部」

店名は、「いしざかぜんしょうてん さけくらぶ」と読む。一一五年続くという酒屋が営む日本酒バーで、店を切り盛りするのは、四代目社長夫人と五代目の娘婿。地元の蔵を支援するため、瓶を並べて売るだけではなく、客に飲んでいってほしいと考えて、店頭で酒…

富山「桜亭」

こちらも、魚が自慢の居酒屋。主人の早川潤也さんは新湊漁港の準組合員。魚屋任せの仕入れは決してせず、競りの現場に立ち、目をつけた魚を仕入れてくる。日替わりメニューを見ると、その日の魚が、つり漁、かご漁、定置あみ漁、さしあみ漁などと、漁の仕方…

富山「親爺」

取材で富山へ行ってきた。何回かに分けて、そのレポートを。 まず訪れたのは、富山駅に近い場所にある「親爺」。魚が自慢の老舗居酒屋である。今年で創業から六〇年になるとのこと。日替わりメニューを見てまず目を見張るのは、刺身の種類が多いこと。がんど…

ちりめん山椒

庭の山椒の木が、六年目にして初めて、たくさんの実をつけた。もとは、鳥が運んできた種が芽生えたものである。昨年はわずか数個だったが、今年は一〇〇個くらい。花粉は、虫が運んできたのだろうか。 実はまず、塩水でゆでてあく抜きをする。ちりめんじゃこ…