橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

西荻窪「にぎにぎ一」

二軒目は、ここ。「にぎやかにぎり」を略して「にぎにぎ」。一は「いち」と読む。立ち食い・立ち飲みの寿司屋で、ネタは上質。値段は一貫一〇〇円の普通ネタと、三〇〇円の高級ネタが中心だが、味は高級寿司店並み。L字型カウンターはいつも一杯で、七人も…

西荻窪「よね田」

今日は『古典酒場』の座談会で、西荻窪へ。会場はこの店の二階座敷で、ビールやホッピー、そして私が秘蔵していた陸前高田の名酒「酔仙」の純米酒などをいただきながら、居酒屋談義をする。今回のテーマは「絆」で、私は東京にある岩手・福島・宮城関係の店…

中野「味吉」

この店、いつから営業しているのだろうか。初めて入ったのは一五年ほど前だろう。日本酒初心者の連れに「いちばんコストパフォーマンスが良くて好みの酒」は何かと尋ねられ、そのとき飲んでいた静岡の「若竹鬼ごろし」だと答えた。すると、ちょうど店員がカ…

上板橋「やきとん ひなた」

秋元屋で修行した主人のこの店、開店から二年経った今では、すっかり板橋近辺を代表する名店である。秋元屋本家を超えるかとも思えるやきとんの味はもちろんのこと、イタリアンの要素を取り入れた独自メニューがすばらしい。写真はイタリア風のもつ煮込み、…

「楽旬堂 坐唯杏」

出版社との打ち合わせで、久しぶりにこの店へ。日本酒の充実ぶりは相変わらずで、とくに私の郷里の酒・宗玄がいろいろ飲めるのはうれしい。料理メニューには新顔がいろいろ加わったようだ。珍しい鯔の料理、あんきもと穴子のリエットなど。写真は「伊太利亜…

江古田「山ちゃん」

二軒目はここ。「山ちゃん」といっても、名古屋発祥のチェーン店とはまったく関係がなく、個人が昨年一二月に開いた、L字型カウンターと小さなテーブルだけの小さな店。看板には「もつ焼」とあるが、豚と鶏がほぼ同比重のメニュー構成で、鶏が一二〇円、豚…

江古田「鶏ジロー・江古田店」

江古田に新しいやきとり屋がいくつかできているらしいので、仕事の後、行ってみることにする。 まずは、この店。フランチャイズのチェーン店で、都内・近郊に七店舗あるとのこと。まずはヱビスビールをジョッキ(五〇〇円)でいただいたが、ジョッキとは名ばか…

八重洲「天海」

というわけで、二次会はこの店。静岡大学に勤めていた頃は、毎月曜日の夜の新幹線で通っていたので、終電の時間まで八重洲近辺で飲むのが習慣になっていたが、最近このあたりで飲むことはめったにない。超高層が続々と立ち、駅前はずいぶん変わったが、飲み…

社食でホッピー

今日は、日本生産性本部が企画する「企業文化研究会」で、居酒屋に関する講演を頼まれて丸の内へ。会場はJXホールディングスの会議室。一時間ばかり、格差拡大とともに起こってきた人々の飲酒行動の変化、石川栄耀の盛り場論や磯村英一の第三空間論を引き…