橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2012-04-22から1日間の記事一覧

藤木TDC『昭和酒場を歩く──東京盛り場今昔探訪』

休刊になってしまった『荷風!』は、いい雑誌だった。アカデミックな香りが強い『東京人』とは対照的に、猥雑な盛り場性を濃厚に湛えた本の造りが魅力的で、号によってややムラがあったとはいえ、十分な情報量があり、読み応えがあった。なかでも藤木TDCの書…