橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「ピッツェリア・トニーノ」

今日は、前から気になっていた下高井戸のピッツェリアへ。経営者はナポリ出身のディ・マッサ・アントニオというイタリア人。 最初にいただいた前菜は、ハム三種類に、オムレツ、焼野菜、ピクルス、チーズなどが盛り込まれ、二五〇〇円。次にいただいたピッツ…

勝沼「ぶどうの丘」

今年も恒例のゼミ合宿で、勝沼へ。「ぶどうの丘」に宿泊し、二日間にわたって学生たちに卒論研究に向けた報告をしてもらう。二日目の午後は、希望者だけでいくつかのワイナリーを回ってから解散。そのあとは、これもいつもの通り、一人で「ぶどうの丘」に戻…

下田淳『居酒屋の世界史』

こういう本を、誰か書かないかと思っていた。著者は、ドイツの民衆文化史が専門らしいが、その範囲を超え、古代史からイスラム史、中国史、日本史まで文献を渉猟し、居酒屋に関する記述を丹念に拾い上げ、まとめたのが本書。 酒の歴史は人類が文明を獲得する…

中野「煮込み屋ぐっつ」

今日は、久しぶりに中野へ。向かったのは、先日の『大人の週末』に掲載されたこの店。 料理は、あいかわらず美味しい。粉チーズをかけていただく塩味の煮込みは、煮込みの新境地である。牛ほほ肉柔らか煮は、すっきり品よく仕上がっている。思いがけず美味し…

幡ヶ谷「太陽食堂」

仕事のあと、ふと思い立って幡ヶ谷へ。幡ヶ谷で飲むのは、初めてだ。 笹塚もそうだが、幡ヶ谷は甲州街道によって南北に分断された街だ。もともと街道沿いに発達した街が、交通量の増加によって街道が拡幅し、分断されてしまう。道幅が狭く路面電車が走ってい…

「はせがわ酒店 グランスタ店」

今日は、本郷で研究会の後、京都からのお客さんを連れて近くの「加賀屋本店」へ行き、東京駅へ送るついでにここに立ち寄る。最初は混でいて入れなかったが、五分ほど近くを歩いて戻ったら、ちょうど席が空いた。 まずいただいたのは、磯自慢飲み比べセット一…

『美味しんぼ』106・107巻

今回は、『偉大なる名人・名店』シリーズを収めた二巻が同時発売。グルメガイド的要素の強い巻だから、まとめて出すというのは、マーケティング的には正しいやり方なのだろう。実在の名人・名店に取材し、これをストーリーに昇華させるのではなくそのまま盛…

豪徳寺「ピコンバー」

二軒目は、この店。豪徳寺駅の近くにあるカフェバーだが、昔からアイレイモルトに力を入れていて、種類は多くないが珍しいものを置いている。何年か前、ポート・エレンを置いていて驚いたことがある。今日いただいたのは、カオリラの1980年、セレブレーショ…

「たつみ・駅前店」

今日は、久しぶりの「たつみ」。下高井戸に二店あるが、本店はグループ客に、駅前店は少人数に向く。カウンターに座って、まずいただいたのは刺身。脂がのっていながら歯ごたえがあり、すっきりした味の天然ブリ。大ぶりのぼたんえび。いずれも、びっくりす…

高崎「だんべ。」

帰りは、高崎駅から新幹線。高崎駅の売店の充実ぶりに感心し、買い物の目星をつけてから、居酒屋を物色する。駅の周辺は店が少なく、チェーン店ばかりが目につくが、歩道橋の陰になって目立たないこの店を見つけて、入ることにする。 ビルの一階で、カウンタ…

群馬「磯部梁」

今日はツアーで富岡製糸場へ。明治初期の洋風建築の織機の並ぶ室内を見学し、製糸の工程を説明するビデオをみる。製糸というものが、初めてよくわかった。それにしても、人間の細かい作業をよく機械に写し取ったものである。ある意味では、ロボットの発想に…

中目黒「藤八」

二軒目は、前から行きたいと思っていたこの店。 ビールを注文するとすぐに出てきたお通しがいい。エビとなす、インゲンの炒め煮で、彩りも良く、味もしっかり。これだけで、いい居酒屋だとよくわかる。マグロぶつはとくに特徴はないが、堅実な居酒屋のマグロ…