橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

中目黒「とん de 目黒」

集中講義の最終日。今日も中目黒へ向かう。 まず入ったのは、この店。店内は広く、カウンターにテーブル多数。開店直後の空いている時間帯だったからか、一人なのにテーブル席へ案内された。 名前の通り、やきとんがメインの店で、串焼きは一本一四〇円。四…

中目黒「源」

集中講義の二日目。今日も、終わった後は中目黒へ直行する。向ったのは、あらかじめDAITENさんのブログで確認しておいた「源」。昔は中目黒にあり、今は祐天寺に後継者が店を開く名店「ばん」から独立した人が営む店とのこと。何の変哲もないビルの二階にあ…

中目黒「大樽 目黒川店」

今日は、恒例となった聖心女子大学での集中講義。猛暑のなか、六時間しゃべり続けて脱水状態になったところで、中目黒へ向う。ここは大衆酒場の多い場所だが、土着居酒屋チェーンの本店(?)へ。 「大樽」は、中目黒に何軒かあるほか、祐天寺や武蔵小杉などに…

「三船」

新宿のライオンでビールを飲んだあと、もう一軒行こうかと西新宿を物色していると、「男は黙ってサッポロビール」の文字が目に入ってきた。思えばサッポロビールの全盛期、このCMが流れた一九七〇年ごろ、サッポロのシェアは二〇%を超えていたはずで、隔…

北千住「力安」

北千住には年に何回も来ているが、何しろ下町居酒屋の宝庫ともいうべき場所なので、行ったことのない店も多い。この店も、今回が初めてだ。 ありふれた店構えだが、紺に染められた暖簾をくぐって中に入ると、濃色系のインテリアがなかなか心地いい。新しい店…

「喜多八」

北千住の東口の商店街は、東京電機大学の東京千住キャンパスが建設されるなど再開発が進み、商店街の名前も「学園通り」「学園西通り」などと名前を変え、活気が出てきた。新しい居酒屋もいろいろ出来ている。来年春にはやって来る学生を目当てにしているの…

『おとなの週末』2011年9月号

今回の特集は『各界達人が選ぶ私の大満足店』。逢坂剛の「とんかつ」、福澤朗の「和菓子」、ラズウェル細木の「うなぎ」と並んで、私が「居酒屋」を紹介しています。 情報を伝え、何軒かはいっしょに下見した三〇店ほどの中から編集部が選んだのは、「萬屋松…

お化け煙突のモニュメント

居酒屋そのものとは関係ないが、古い居酒屋が好きな人なら、たぶん興味のある話題だと思う。 北千住の駅から歩くとかなり時間がかかるが、旧日光街道で「大はし」の前を通り過ぎ、商店街が終わるあたりで左に曲がって日光街道を渡り、そのまま西へ進んでいく…

ヤミ市研究会 in 新橋

今日は、東大の建築史研究室でヤミ市研究会。若手の研究もだいぶ形が整ってきて、出版計画もメドが立ってきた。 研究会の後の実地調査は、有楽町から新橋のガード下と新橋の駅ビル。丸三横丁を見学した後、有楽町ガード下の登運とんの横からガードの真下に入…

春日「遠州屋」

春日は、本郷台地と小石川台地にはさまれた谷間にあたる場所で、昔は下町風の商店街だった。今ではジェントリフィケーションが進み、道の両側がマンションだらけになってしまったが、それでも老舗が何軒が残っている。この店などは、見るからに下町大衆酒場…

石神井公園「那辺屋」

石神井公園の二軒目は、ここ。ビルの地下にあって、入り口はラーメン屋のような雰囲気だが、店に入るとイラスト付の居酒屋メニューがたくさん貼ってある。 メインのメニューは、もつ焼きだ。ちょっと四文屋を思わせるところがあって、味・スタイルともよく似…

石神井公園「満天」

今日は、必要があって板橋から練馬にかけて歩きまわる。浮間舟渡をスタートに、西台、中台、上板橋、東武練馬、下赤塚、光が丘と通って、石神井公園まで行くつもりだったのだが、さすがに疲れて、光が丘からはバスに乗る。石神井公園は、おそらく初めて来た…

にろく・小関敦之・浜田信郎・藤原法仁『東京駅近居酒屋名店探訪』

山手線には駅が二九あるが、まだ飲みに行ったことのない駅が二、三ある。いつか全駅制覇してみたいと思っていたら、ちょうど良い本が出た。本書は、山手線の駅から近い居酒屋を各駅一−二軒、合計三三軒、これに下町とそれ以外の駅に近い居酒屋を二一軒、合計…