橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「KYODO406/経堂葡萄酒」

四月末、経堂の駅前に商業施設の「経堂コルティ」がオープンした。以前あった「経堂ジョイフル」が取り壊されてから、不便な暮らしを強いられていたが、これでずいぶん便利になった。四階のレストランフロアに飲食店が五軒あり、その中で酒がメインといえる…

下北沢「千真野」

家の近くに、こんな店があるとは知らなかった。岩手県のホームページからたどり着いて見つけたのが、この「千真野」。岩手県千厩町出身のご主人が、五年前に開いたという店である。 メニューには、南部地鶏、門崎牛、佐助豚、岩手鴨など、岩手の食材が並ぶ。…

「みちのく」

研究会のあと、京都からのお客さんを連れて銀座「三州屋」へ。しばらく飲んで食べて、有楽町の駅までお見送りしたあと、この店へ。 名前の通り東北料理が売り物の店で、青森の生姜味噌おでん、宮城のはっと汁、福島の鰊山椒漬、岩手の若布かき揚げ、山形の玉…

南新宿「郷土料理 三陸」

岩手・宮城・福島関係の居酒屋を探していて見つけたのが、この店。元は一軒家だったのだろうけれど、現在はビルの二階。大きなガラス張りで、ファミリーレストランのような外観だ。店内も、ほぼ食堂の雰囲気で、夕食を食べている人が多い。テーブルかカウン…

「えっ!?つくねっすか!?経堂店」

最近できた店らしい。アライブフードファクトリーが経営するチェーン店だが、まだ都内・近郊に数軒程度しかないようだ。店名にもなっているつくねを中心に置き、串焼きを十数種類揃える。一本一五〇円から二〇〇円が中心だから、あまり安くはない。つくねは…

「ささもと」

次に向かったのは、この店。串に刺して煮込むという、明治期に生まれたモツ煮込みの原型を出す、数少ない店のひとつである。銀座に支店があって、こちらは場所柄、高級牛の串焼きや刺身なども出す高級店。これに対して思い出横丁の本店は、思い出横丁として…

「樽一」の鯨珍味盛り合わせ

「樽一」といえば、私にとっては池袋店だった。名酒「浦霞」と東北の魚介類が売り物の店で、とくに穴子の炭火焼きは素晴らしかった。ロサ会館を通り過ぎた奥の、小さなビルの二階で、周囲のざわざわした雰囲気とは一線を画す別世界だったが、惜しくも一〇年…

戸越銀座「焼鳥エビス」

仕事の帰り、ふと思い立って、池上線に乗ってみた。 いまから二五年前、洗足池の看護学校で社会学の非常勤講師をやっていたことがある。教壇に立ったのは、これが生まれて初めてだった。学生は全員が女性で、授業の前後に起立・礼をするのに驚いた。いま大学…

森まゆみ『望郷酒場を行く』

雑誌『東京人』に連載されていたもので、東京にある郷土料理店を、東京料理も含めて四七都道府県全部探して制覇するという、とんでもない企画。さすがに無理があったようで、奈良は名酒「春鹿」を出す店、埼玉は同じく「神亀」を出す店、栃木は栃木出身者が…

吉祥寺「アヒルビアホール」

花見のあとは、上板橋の「もつ九」、阿佐ヶ谷の「吟雅」と飲み歩き、締めくくりは吉祥寺のハモニカ横丁へ。入ったことのない店を物色し、立ち飲みのこの店に入ることにする。入るといっても、路地に面したオープンスペースである。一年ほど前に開店したらし…

石神井川の桜

この日は、ほぼ毎年花見に行っている石神井川へ。石神井川には花見スポットがいくつかあるが、私が好きなのは、都営三田線板橋駅から東武東上線中板橋の間の流域である。この辺りは、水面が護岸のかなり下にある。川の両岸から川の中央に向って枝が伸び、ま…

「萬屋松風」

震災の影響で、新学期はいつにも増してあわただしい。仕事を終えたあと池袋へ出て、この店へ。やはり震災の影響で飲食店は客の入りが悪いというが、この店はまあまあ客が入っている。以前も紹介したが、日本酒をいろいろ揃え、刺身や定番の料理が美味しくて…