橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2011-05-16から1日間の記事一覧

「樽一」の鯨珍味盛り合わせ

「樽一」といえば、私にとっては池袋店だった。名酒「浦霞」と東北の魚介類が売り物の店で、とくに穴子の炭火焼きは素晴らしかった。ロサ会館を通り過ぎた奥の、小さなビルの二階で、周囲のざわざわした雰囲気とは一線を画す別世界だったが、惜しくも一〇年…