橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

東長崎「セビアン」

今日は、教授会のあと、新任の先生たちの歓迎会で、このレストランへ。ご覧のように、パリの下町の小さなビストロのようなかわいい外観。料理は本格的で、しかも安い。前菜二種、スープ、魚料理と肉料理のコースで、なんと三九五〇円である。本日の料理は、…

蒲田「鳥万」

三軒目は、この店。蒲田を代表する大衆酒場で、なんと一階から四階までが居酒屋フロアという老舗、「鳥万」である。テーブル席中心の一階は満員だったので、二階へ。L字型カウンターの隅のほうに席を取る。 ともかく、メニューが豊富で、何でも安い。ビール…

蒲田「とっちゃん」

DAITENさんに案内されての、蒲田居酒屋めぐり、二軒目はこの店。京急蒲田駅の周辺には、ヤミ市の臭いのする商店街がある。詳しい記録は残っていないのだが、ここは郊外のターミナル駅だから、周辺から農産物や工業製品などの物資が集まってきて、大規模なマ…

蒲田「片桐」

今日は、城南地区を根城とする居酒屋探偵DAITENさんと蒲田で待ち合わせ。今回は、蒲田の居酒屋めぐりをしようという趣向である。蒲田は、私にとってはあまりなじみのない土地。おそらく、二−三年に一度しか立ち寄ることがない。居酒屋、とくに立ち飲み屋が多…

三軒茶屋「えびすさん」

三軒茶屋エコー仲店店、祖師ヶ谷大蔵店と、系列店についてはすでに紹介しているが、この店はもともとの発祥の地であるらしい。場所は、三軒茶屋の駅から玉川通りの右側を渋谷方向に進み、昭和女子大学の手前の信号のところで右に曲がって、四分ほど歩いたと…

ある居酒屋のトイレにて

・・・・・・・・。[追記] 不審ないたずら書き込みでは?という声もあったが、ある居酒屋のトイレに貼られたポスターを私が撮ったもの。ちなみに、隣に貼られたもう一枚には「ちゃんと狙ってね」とあった。

大幅値下げした「なぎ屋」

給湯関係と浴室の工事をしているので、一週間ばかり風呂に入れない。そこで、毎日銭湯に通っている。今日は、千歳船橋の銭湯へ行き、帰りに寄ったのが、この店。以前も取り上げたが、代々木、方南町、西荻窪、中野新橋、そして千歳船橋と五軒だけの小規模チ…

「鳥じゅん」

大学の授業が終わったあと、DVDのケースを買いに、新宿西口のビックカメラへ。ビックカメラの裏手あたりには、古い居酒屋がいくつかある。有名なのは「ぼるが」だろうけれど、いつも満員なので入ったことがない。今日入ったのは、ビックカメラのすぐ裏の、こ…

金目鯛

金目鯛が、いちばん美味しい季節である。真鯛もそうだが、五月頃に産卵の季節を迎えるので、今がいちばん栄養を貯め込んで味がのっている。金目鯛は脂とゼラチンが多く、甘辛い濃いめの味付けに耐える力があり、また、そう味付けした方が美味しい。そのため…

太田和彦『シネマ大吟醸』

居酒屋めぐりが好きな者にとっては、神様みたいな存在になってしまった太田和彦だが、実は日本映画通でもあることはあまり知られていない。この本は、戦前の映画を中心に、一九五〇年代前半までの日本映画を論じたもの。居酒屋を論じるときの観察眼、そして…

祖師谷大蔵「戎参」

祖師ヶ谷大蔵駅を南側に出て、すぐ左に入った通りにも飲食店が何軒かある。有名なのは中華の名店「広味坊 」だが、その斜め向かいに「戎参」があるのを見てびっくり。聞いてみると、二月に開店したばかりとのこと。三軒茶屋周辺限定かと思ったら、広く展開し…

祖師谷の飲み屋横丁

小田急線の祖師谷大蔵駅は、新宿から行くと経堂の二つ先で、成城学園前のひとつ手前。近くの町名は、北側が祖師谷、南側が砧、少し離れて大蔵。高級住宅地から木賃アパート、公営住宅までが共存する、モザイク的な地域である。商店街は活気があり、人通りが…

「ホッピー価格の謎」訂正

三月二六日に「三軒茶屋「戎参」 ホッピー価格の謎」と題する記事を書き、一度は四九〇円に値上げされた生ホッピーが、四二〇円と元の価格に戻されていたという話を書いたが、これは事実誤認だということが分かった。実際には値上げされたままである。訂正の…

祖師ヶ谷大蔵「ひもの屋 網十」

桜の花も、最盛期だ。今日は、成城の南側、仙川沿いの夜桜を見に行く。見事な枝が川の中心部に向かって伸び、なかなかの眺め。石神井川の桜と並んで、東京にあって渓谷の桜のような景観が楽しめる。 このあたりには東宝の撮影所があり、その近くの桜は見事に…

豪徳寺「祭邑」のレバ刺し

久々の、豪徳寺。自宅の隣の駅というのは、なかなか降りないものである。しかもこの店、近所の人たちでかなり早い時間に満員になることが多い。行きたいと思いつつ、どういうわけか今年、今回が初めてである。 もつ焼きのおいしい店は、レバ刺しも美味しいこ…

渋谷「鳥竹総本店」

映画「砂の器」ロケ現場か、というわけで、外出ついでに寄ったのが、井の頭線の西側出口の近くにあるこの店。ずいぶん久しぶりである。この店はお昼前に開店で、昼から飲める店。近くには二四時間営業の「山家」もあり、おしゃれな若者の街というイメージの…

「どっこい生きてる」撮影現場は今

また映画ネタです。興味のない人、ごめんなさい。 二月一九日に、今井正監督の「どっこい生きてる」に、アメ横の飲食店街が出て来る話を書いたが、この画面をよく見ると、路地の向こう側に京成上野駅の「京」の字がみえる。では、どのあたりかと行ってみたら…

「砂の器」と「鳥竹」

二月二七日に、映画「砂の器」で丹波哲郎と森田健作がやきとり屋でビールを飲むシーンについて紹介したが、この店について、居酒屋探偵のDAITENさんから情報をいただいた。このシーンに入る前に飲食店街が出てくるが、これは渋谷の井の頭線ガード付近で、さ…

『東京人』二〇〇九年五月号

この雑誌には毎号、巻頭に三人の筆者による随筆が掲載されているが、この号は私も執筆している。題して、「居酒屋からの警鐘」。ぜひ、ご笑覧を。今回の特集は「模型」で、都市模型や建物模型、古い町のジオラマなどが多数紹介されている。みたことのないも…

恵比寿「たつや」

ガーデンプレイスをあとにして、恵比寿の街へ出る。まだ、日は高い。恵比寿で昼から飲むなら、ここでしょう。というわけで、「たつや」へ。前回来たのは、二年前の夏だった。天井には魚拓がたくさん飾られている。それを眺めながら、ホッピーを飲む。 真っ昼…

恵比寿麦酒記念館

ガーデンプレイスに来たときは、必ずここに寄ることにしている。サッポロビールの定番商品の他、限定醸造ビールやポレール・ワインを有料試飲できる場所である。値上げされたようで、三〇〇mlほどの試飲グラスで、ヱビス各種が三〇〇円、半分ほどのグラス…

サッポロホールディングス株主総会

二年ぶりに出席してきた。会場は、恵比寿ガーデンプレイス。二年前は、スティール・パートナーズの買収提案で大騒ぎになり、マスコミが多数押しかけたが、今回はさほどではない。金融恐慌でスティールも資金不足に陥り、買収する体力もなければ信用もなくな…