橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2009-02-19から1日間の記事一覧

「どっこい生きてる」(今井正監督・一九五一年)

一九五一年といえば、まだまだ戦後復興の途上で、貧しかった時代。職業安定所の紹介する仕事が日給二四〇円だったことから、ニコヨンと呼ばれるようになった日雇労働者が、必死に仕事を探してその日暮らしをしていた。この映画では、歌舞伎役者の河原崎長十…