橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2009-01-19から1日間の記事一覧

「池林房」

新宿三丁目の裏手は、心ひかれる居酒屋の多い界隈である。いちばんの先輩格は、歌声酒場のさきがけとしても有名な「どん底」で、一九五一年の創業。一杯飲み屋ややきとり屋しかなかった当時は珍しい、いろいろな酒と料理を出す本格的な酒場だったという。当…