橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

新著発売中

新著『居酒屋ほろ酔い考現学』が発売になりました。 書店には、すでに並び始めているようです。 居酒屋好きの皆さん、そして東京論と格差社会論に関心のある皆さんにお読みいただけると幸いです。居酒屋ほろ酔い考現学作者: 橋本健二出版社/メーカー: 毎日新…

OFF LICENCE

英国でよく見かけるのが、この文字の看板。酒販店やコンビニの店先に下げられているのだが、どういう意味か。 米国も同じらしいが、英国には酒販免許が2種類ある。ひとつはON LICENCEといい、店で客に酒を飲ませることのできる酒販免許で、パブはこのライセ…

キニーネ入りのトニックウォーター

私の愛読する酒マンガ、「BARレモンハート」の第19巻に、「なつかしのジントニック」と題するストーリーがある。ある日、レモンハートを一人の老人が訪れ、「うまいジン・トニックをもらおうか」という。マスターがいつもどおりに作ったジントニックを出すと…

サウスハンプトン大学の学生パブ

家の近所に、サウスハンプトン大学がある。英国の国立大学(国の直轄ではないが、財政的に国によって支えられている)のひとつで、けっこう知名度があり、評価も高いらしい。日本なら、主要な地方国立大学のひとつといったところか。歩いて20分ほどなので、散…

ダブリン「ザ・ブレイズン・ヘッド」

ダブリン市街の中心部からやや西寄り、クライスト・チャーチとリフィー川の間あたりにあるのが、このパブ。看板に"Ireland's Oldests Pub"とあるとおり、創業はなんと1198年とのこと。日本では鎌倉時代の初期、源頼朝が亡くなる前年にあたる。現在の店ができ…

ダブリン「ジャック・ニーロン」

この日の最後に訪れたのは、街を歩いていて見つけたこのパブ。写真だとまだ明るい時間のようにみえるが、実はもう夜の九時半。アイルランドは英国に輪をかけて日が長く、十時を過ぎてもまだ薄明るいのである。この店は、ダブリン市民が集まるパブのようで、…

ダブリン「チェコ・イン」

アイルランドは、ヨーロッパ諸国でもっとも貧困率の高い国である。OECDのレポートによると貧困率は15.4%で、先進国の中では米国に次いで高く、OECD諸国全体でもメキシコ、米国、トルコに次いで4番目である。ちなみに5番目に高いのは日本で、15.3%。新聞等…

ダブリン「ギネス・ストアハウス」

ダブリン市中心部の西側に、ギネスビールのセント・ジェームズ・ゲート醸造所がある。ここに併設されているのが、このギネス・ストアハウス。ギネスビールは、世界最大のスタウト・メーカー、というよりエール・メーカーである。何種類かのギネス・スタウト…

ダブリンにて

2泊3日の予定で、アイルランドの首都・ダブリンに行ってきた。ダブリンは、サウスハンプトンの空港から80人乗りの小さなプロペラ機で1時間ほど。5時過ぎに家を出て、8時過ぎには着いてしまった。空港から市内へ向かうバスの車窓から、「YES」「NO」と書かれ…

英国の酒税体系

英国内ならウイスキーが安く買えるはず、と思っていたが、ぜんぜん安くない。写真は、waitroseという高級スーパーチェーンの酒売り場。わかりにくいと思うが、ラフロイグ10年は通常価格26ポンド(約5400円)が、安売りで20ポンド(約4200円)。安売り価格が日本…

サウスハンプトン RICHMOND INN

家からいちばん近いパブがここ、リッチモンド・インである。近いというだけではなく、いろんな意味で英国らしいパブで、これから何度も通うことになりそうだ。まず、入り口が二つあり、左側のドアにはBAR、右側のドアにはLOUNGEと記されている。これが話とし…

サウスハンプトンの我が家

サウスハンプトンの中央駅からバスで四つ目、徒歩でも四〇分くらいの場所に、一ヶ月だけ家を借りることにした。二階建てで、一階にはサンルーム付きのダイニングとリビングルーム、二階にはベッドルームが四つ。これで、一ヶ月の家賃が一一〇〇ポンド(約二三…

英国より

約三ヶ月の予定でヨーロッパで生活します。まずは、ロンドンから南西に少し行ったところの港町、サウスハンプトンに滞在。ようやく生活が落ち着いてきたところです。まずは、パブのエールでもいかがでしょう。パイントグラスで、2.8ポンドですから、600円く…

『居酒屋ほろ酔い考現学』(毎日新聞社)発売日決定

新著です。一部で、このブログの文章を流用していますが、ほとんどは書き下ろしです。六月三〇日発売予定ですが、二七日くらいから書店に並びはじめるでしょう。この表紙は、ラフスケッチ段階のもので、少し変わるかもしれません。目次は、以下の通り。予価…

さらば人世横丁

人世横丁ができたのは一九五一年のこと。池袋駅東口のヤミ市の移転先として生まれてから、六〇年近い歴史を刻んできたが、とうとうこの七月に、再開発で姿を消すことになった。六月からしばらく日本を離れるので、ヤミ市横丁研究所の井上さんと待ち合わせ、…

千歳船橋「登美や」

小田急線は、焼きとん屋不毛地帯である。皆無というわけではない。祖師ヶ谷大蔵の「たかはし」、豪徳寺の「祭邑」など、いい店もあるにはある。しかし焼きとん屋くらい、それぞれの駅前に二、三軒ずつくらいあってほしいと思う私には、物足りない。自宅の最…