橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

有楽町「うた」

ライオンを出て、向かうは有楽町のガード下。「登運とん」に入るつもりだったのだが、満員だったので、すぐ近くの「うた」へ。ここに立ち寄った最大の目的の一つは、京都在住のLiさんに、生ホッピー初体験をさせること。ここの生樽ホッピーは、デフォルト…

「銀座ライオン銀座七丁目店」

今日は、「居酒屋とり橋」のオフ会。集合は午後三時、待ち合わせ場所は、この一階ビアホールである。今回の参加者は、私と女将、大瀧さん、そして京都から来られたLiさんの四人。大瀧さんとLiさん、そして今日は不参加のゆーこさんは、昨日「みますや」…

札幌「炭おやじ」

懇親会の後は、ホテルに向かって狸小路を歩く。気温は零下五度だが、雪はやみ風もないので、さほど寒くは感じない。ホテル近くまで来たところで、いかにも大衆的なたたずまいのやきとり屋を発見。今日のひとり二次会は、ここに決定だ。入ってまず、サッポロ…

札幌「開」

今日のシンポジウムは、夕方の六時から。その間は、ホテルで締め切りの過ぎた原稿の仕上げをする。来る前に仕上げて、今日は観光する目論見だったのだが、仕方がない。そんな私を慰めてくれるかのように、外は大吹雪。みるみるうちに雪が積もっていく。大雪…

札幌「東京ビーム」

札幌にホッピーはあるのか。東京在住の大衆酒場好きとしては、これは避けて通れないテーマである。『古典酒場』で「ホッピーの北限」の一つとして青森の居酒屋が取り上げられていたところをみると、見込みは明るくなさそうだが、実際のところはどうか。ホテ…

札幌「春花秋灯」

夕食は、ここと決めていた。ススキノの交差点近くにある有名店である。もう二〇年近く前だが、初めて北海道へ来た時、刺身とウニのうまさ、そしてリーズナブルな値段に感動して以来、札幌を訪れた時は、たいがいここに寄ることにしていた。しかし、変わった…

札幌「サッポロビール園」

シンポジウムに参加のため、二泊の予定で札幌へ。一泊でもいいスケジュールだったが、冬の札幌は初めてなので、一日余裕をみて出かけることにした。まず向かったのは、当然のようにサッポロビール園である。サッポロビール園はもともと工場併設の施設だった…

「天ん洋」

やきとり横丁の後は、自宅近くの「天ん洋」(前回)へ。こちらではスズキの刺身(八五〇円)、あんきもポン酢(六八〇円)、ふぐの天ぷら(九五〇円)、そしてここでしか食べられない大ニンニクの天ぷら(六〇〇円・写真)をいただく。酒は、まずサッポロ黒ラベル、そ…

「きくや」

後期の授業は、今日が最後。これから定期試験と入試で忙しくなるのだが、ゼミの四年生も成績はともかく全員卒業できそうなので、一安心といったところだ。こうなると、ちょっと寄り道をしたい。向かったのは、新宿のやきとり横丁である。まずは入ったことの…

「なんで・や」

私には信心というものがないので、わざわざ元旦の朝に初詣に出かけたりはしない。しかしずっと家にいるのもつまらないし、正月も三日になると人出も少なくなるだろう。というわけで、近くの松陰神社に行くことにする。自転車で行くのにちょうどいい距離なの…

西通りのロックバー

経堂西通りというのは、経堂駅の南口を出てすぐ右に曲がったところから始まり、途中で小田急線のガードを北側へくぐって二手に分かれ、千歳船橋方向へ伸びる通りである。商店・飲食店と住宅が混在した、寂れたとも落ち着いたとも形容できる通りだが、ここに…

「レプロット」で飲むシューベルト

少々長旅だったが、年末に東京へ帰ってきた。休みに東京見物をという義妹と姪もいっしょである。料理をするのも面倒なので、四人でお気に入りのイタリアン「レプロット」(前回)へ。四人だから、料理もいろいろ注文できる。今日は、たまたま入荷していたニュ…

金沢「いたる」

金沢の中心部・香林坊の交差点から一本犀川寄りの、飲食店や用品店などの灯りが続く路地を兼六園方向に少し行くと、用水のほとりに出て、近くには老舗の寿司屋やおでん屋、ホテル、書店などが並んでいる。さらに少し進んだ道の左手にあるのが、この店。ニュ…

金沢・新天地「なかじ屋」

ヤミ市横丁の新天地にある焼きとん専門店である。金沢で焼きとんにお目にかかることは少ない。東京のヤミ市横丁に焼きとん屋が多いのは、豚の内臓は統制除外品で自由に売ることができたからだが、同じ理屈からいえば金沢のヤミ市に焼きとんの店があったとし…

金沢のヤミ市

戦災を免れた古都・金沢でも、終戦直後にはヤミ市が簇生した。当時を知る人の話と、金沢市立図書館で調べた結果を総合すると、ヤミ市があったのは、つぎの4ヶ所である。(1)金沢駅前。再開発で、現在はホテル日航金沢になっている。ただし、駅前周辺を総合的…

白山市「高砂茶寮」

町村合併のせいで、聞き慣れない名前の自治体が増えた。白山市もその一つで、金沢近郊で海に面した松任市から霊峰白山の麓の白峰村までが合併した、広大かつ奇妙な形をした自治体である。こちらは子どものころに地名を覚えていて、しかも普段は使わないとき…

金沢ホッピー事情

金沢にホッピーはあるのか? ごらんの通り、金沢大学近くのジャスコの酒売り場には、55ホッピーを含めてホッピーが三種類並んでいた。東京に55ホッピーを置く店は少ないから、むしろ進んでいるともいえる。一一八円という値段も、ごく普通の水準だ。金沢駅の…

金沢「黒百合」

これは金沢の駅ビルにあり、長年にわたって市民や金沢をよく訪れる旅人たちに愛されてきた名店である。駅ビルが建て替えられる前は地下街にある小さな店だったが、地上に移転してずいぶん広くなった。しかし、一人客を大切にするカウンター中心の店の雰囲気…

波並「フラットベーカリー」

年末、実家の能登と妻の実家のある金沢へ資料収集をかねて帰省してきた。まず空路で能登に入り、一泊した後で金沢へ。その途中、昼食に立ち寄ったのが、ここFlatt's Bakeryである。奥能登の内側に位置する能登町には、 矢波・波並・ 藤波と「波」のつく3つの…

謹賀新年

あけましておめでとうございます。 本年も、「橋本健二の居酒屋考現学」をよろしくお願いいたします。 皆さんの新年の酒は何ですか? 私はまず、サッポロ黒ラベル、ついでスペインのカヴァ、そしてこれから、微発泡のにごり酒に移ろうかというところです。肝…