橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「灯串坊」で「魔王」を飲む

焼酎好きなら誰でも知っている、鹿児島は白玉醸造の芋焼酎「魔王」。「幻の焼酎」として知られ、量販店やネットショップでは一升瓶が二万円、四合瓶が一万円ほどで売られていることがある。しかし「灯串坊」では、普通の値段でボトルキープできる。正確な額…

ダブリナーズ・アイリッシュ・パブ

新宿三越アルコットの裏手、ライオン会館の二階にあるアイリッシュ・パブ。テーブル席を中心に立ち飲みスペースを配したスタイル。写真のように、ギネスの大きな鏡、ポスターやさまざまな小道具で、アイリッシュ風を演出している。店内ではギターの弾き語り…

下北沢「てっちゃん」

学期が始まって、とたんに忙しくなった。八時ごろまで大学に残って雑用を片付け、帰りに下北沢で途中下車。目指すはヤミ市横丁の、下北沢北口市場である。最近できたと思われるやきとり屋が、ここ「てっちゃん」。店名の通り、先日行った吉祥寺「てっちゃん…

江古田「半兵ヱ」

不思議な居酒屋だ。東北地方と東京を中心に展開するチェーン居酒屋なのだが、「昭和」がテーマということで、写真の通り、店の前の看板は「狂った果実」と「青い山脈」だ。店内にも、古い映画のポスターやら鉄製の看板やら、アンティークなグッズの数々が所…

江古田「四文屋」

学期はじめで忙しい。八時半まで研究室で仕事をし、ホッピーとモツ焼きを求めて近所の「四文屋」へ。前回は二月だったから、ずいぶん久しぶりだ。風で赤ちょうちんが揺れている。今日は、学生らしいカップルやグルーブが多い。ここは、日大芸術学部の近く。…

新作(?) ホッピー・アンバー

この夏は、ずいぶんホッピーのお世話になった。猛暑で乾いているときは、ビールですら甘ったるくしつこく感じることがある。だからといって、スーパードライの金属的な不味は願い下げだ。すっきりしてしつこくないビールがあればいいわけで、ヴァイツェンビ…

「メコン」

池袋には昔からエスニック料理の店、とくに東南アジア料理の店が多い。とくにタイ料理店は、私の知る範囲でも五軒ばかりあり、タイ人の料理人や店員がいて、本場の味を知ることができる。連休の初日に買い物ついでに寄ったのが、この「メコン」。料理の種類…

吉祥寺「美舟」

「てっちゃん」で飲んでいると、正面右側に「やきとり」と書かれた古い赤ちょうちんが見える。これは、行かないわけにいくまい。というわけで、すりガラスの入った引き戸を開ける。中は、何とか八人くらいは入れるかというコの字型カウンター。年季の入った…

吉祥寺「てっちゃん」

大衆的な一大商業地として発展した上野・アメ横を別とすれば、吉祥寺のハモニカ横丁は、ヤミ市の雰囲気を残しながら多くの人々を引きつけ続けているという点で、数あるヤミ市起源の商店街の中でも特筆すべき存在といえる。飲食店はさほど多くないのだが、そ…

豪徳寺「祭邑」

会議が長引いて、帰りが遅くなった。今日はどこかで飲んで帰ろうと思っていたのに、時間がない。でも、モツ焼きとホッピーへの欲求は抑えきれない。というわけで、近場の「祭邑」に立ち寄る。遅い時間帯なので、もう種類が少ない。カシラ、シロ、ガツ、豚ト…

酒とつまみ編集部編『酔客万来』(酒とつまみ社・2007年・1600円)

高田渡つながりで一冊。「酒とつまみ」という雑誌については、別のブログで紹介したことがある。全編酒の話だけという雑誌で、「中央線で行く東京横断ホッピーマラソン」「7時間耐久立ち飲みマラソン」など奇想天外な特集をやっている。本書は、この雑誌に連…

「タカダワタル的」(タナダユキ監督・2003年)

私が高田渡を知ったのは、比較的最近のことである。演奏そのものは若い頃から耳に入っていたのかもしれないが、それが名前と結びついたのは数年前だろうか。惜しいことをした。彼はほとんど毎日のように、吉祥寺の「いせや」で飲んでいたという。もう取り壊…

両国「ポパイ」

今日は義妹を連れて両国へ。まずは江戸東京博物館を見学。私は何度も来ているので足早に展示物を通り過ぎるのだが、初めて来るといろいろ珍しいのか、妻と義妹はずいぶん時間をかけてみている。こちらは少々時間をもてあまし気味。しかし、売店で「映画で東…

レプロット

今日は出張帰りの義妹を迎え、経堂のイタリアン「レプロット」で食事。前回も書いたが、若い夫婦が営む気さくなリストランテだが、けっこう本格的な料理も出す。今日は、つぶ貝のガーリックソテー、焼きトリッパなど前菜を三種、パスタを二種、メインにスズ…

勝沼「ぶどうの丘」

勝沼は、かつては勝沼町だったが、現在は甲州市の一部。ここは日本最大のぶどうの産地であり、ワインの産地である。甲府盆地の東端に位置し、南向き・西向きの斜面があって寒暖の差が大きいことから、良質のぶどうを産する。最寄り駅は中央線の「勝沼ぶどう…

「きくや」

新宿・やきとり横丁の「きくや」については何度か取り上げたが、この店はその姉妹店。店主は新宿の店主のお兄さんとのこと。やはり、ハイボールがある。味は同じだが、こちらは場所柄か二八〇円と新宿より二〇円安い。メインの料理はもちろん焼きとんで、新…

吉祥寺「いせや 井の頭公園店」

九月八日と九日は吉祥寺のお祭り。ふらふらと出かけてみた。吉祥寺は、発展著しい。いまや、副都心といっても過言ではない。祭りも、活気がある。大勢の若者たちが、半被を着て御輿を担いでいる。若者を引きつける力のある街である。都心と違って、地元に若…

新橋「立ち呑み ごひいきに」

福島から東京に戻り、銀座で日経の記者と待ち合わせ。七丁目の「ライオン」に入り、取材を受ける。テーマは、「なぜ居酒屋の一合は、店によって量が違うのか」(笑)。徳利というのはもともと、量り売りのための計量容器だったわけだが、天保年間に湯煎で燗を…

福島「だいじょうぶ」

「古典酒場」編集長酔いどれブログで、「ホッピーの南限・北限を探る」という企画をやっていることについては、以前紹介した。実は、ホッピービバレッジのホームページでは「買える店・飲める店」の検索ができ、南は石垣島、北は稚内まで飲める店があること…

本厚木「十和田」

「元湯旅館」から車で本厚木駅まで送っていただいたあと、駅前商店街を散策。すると昼間からやっている居酒屋があり、店頭に掲げられたメニューには「ホッピー樽生」の文字を発見。これは、入ってみないわけにはいかない。入ってまず、壁一面に貼られた絵入…

飯山温泉「元湯旅館」

本の原稿を書き上げた後、月末締め切りの論文を二日遅れで仕上げ、これで仕事は一段落。家で本を読んだり音楽を聴いたりするのも悪くはないが、たまには休日らしいことをしたい。というわけで、今日は日帰り温泉に出かけることにした。飯山温泉は、小田急線…

有楽町「千成」

有楽町のインターナショナルアーケードときいて、分かる人はどれだけいるだろう。ガード下の「登運とん」の近くから狭い通路を線路の真下に入り、新橋方面に向かうガード下である。なぜ「インターナショナル」なのか。確かに新橋側の端っこには、外人向けの…

「天狗」の「ドライハイボール」

コリドー街の天狗にも寄ってみた。この店は、「天狗」チェーンのアンテナショップ的存在で、ときどきチェックすることにしている。個室風のテーブル席などがあり、「天狗」の今後の展開が読める店なのである。新しくメニューに入った酒が「オリジナル天狗酎…

銀座七丁目「ライオン」

銀座へ来たからには、ぜひ立ち寄りたいのが、この「ライオン」である。何度も来ているから、この店については昨年六月一八日の記録あたりを見ていただくことにして、説明は省略したい。今日も満員。私は運良くすぐに座れたが、入り口で待たされている人は多…

銀座二丁目「バニュルス」

catalan bar Vinulsと表記する。つまり、カタルーニャ風バルである。店頭は立ち飲みコーナーで、奥にはカウンターと丸テーブルが五つほど。丸テーブルには椅子が二脚だけで、三人目からは立って飲むことになる。二階はテーブル席のレストランになっているよ…

「三州屋銀座店」

1月に行った三州屋は、並木通りの銀座二丁目だが、こちらは銀座一丁目。どちらも「三州屋銀座店」でまぎらわしい。二丁目の方は「活魚一品料理」、一丁目の方は「大衆割烹」「活魚料理」とある。ただし一丁目店は路地を入るのではなく、西五番街通りに面して…