橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

水道橋「スタンドヒーロー」

水道橋駅近くで見つけた立ち飲み屋。メインの料理は串揚げで、つぶ貝、わかさぎ、谷中生姜、山芋磯辺など、ちょっと変わったものもある。モルツの生が三八〇円、ホッピーは三八〇円で、中・外とも二〇〇円と安い。焼酎が一〇数種類あり、三五〇−四五〇円。基…

鄭銀淑『マッコルリの旅』(東洋経済新報社・2007年・1800円)

韓国の各地を旅しながら、その土地の大衆酒場で、家庭料理と郷土料理をいただきながらマッコルリを飲む。そんな本である。写真も、雰囲気を良く伝えている。市販のマッコルリも数多く紹介されていて、買うときの参考にもなる。私はこれを読んで、さっそく「…

神保町「やきとり屋」

神保町の三省堂書店の二本裏側あたりにある焼鳥屋。名前の通りの焼鳥屋で、焼きとんはない。ここの名物は、生樽ホッピー。写真でご覧の通り見事にクリーミーな泡は、名ビアホールのビールに通ずるものがある。味は、申し分ない。TOKIO古典酒場の編集長が「蜂…

鯛のXO醤蒸し

一昨年、シドニーの中国街で食べた牡蠣のXO醤蒸しがすばらしくおいしかった。帰国して作り方を調べ、いろいろ素材を選んだり手抜きをしたりして、今ではすっかりわが家の定番となっている料理法である。まず、XO醤を紹興酒で溶いておく。これを、フライ…

三軒茶屋「でこ」

三軒茶屋の交差点からキャロットタワーの方へ一本入ったところに、「すずらん通」という飲食店街がある。入り口には、恵比寿様らしき顔が二つ並び「喰うてかへんか」という文字が入った、ユーモラスなゲートがあるからすぐ分かる。昭和の雰囲気の漂う一角で…

三軒茶屋「久仁」

今日は仕事を早々に切り上げて、三軒茶屋へ。三軒茶屋は世田谷区随一の商業地域で、二七階建ての商業・オフィスビル、キャロットタワーがランドマーク。ここはもともと交通の要所で、渋谷と大山を結ぶ大山道から登戸道が分岐する地点だった。地名は、ここに…

代官山「ル・プティ・ブドン」

原稿完成祝いも兼ねて、今日は妻と二人で出かける。代官山のフレンチで、遅いランチ。実はこの店、三年前に披露宴をやった場所である。二時に入店したのだが、客は我々だけ。普段はかなり混んでいるのだが、さすがに時間が遅かったか。ランチコースは、オー…

豪徳寺「住吉」

ようやく原稿が完成した。図表込みで、約三三〇枚。一〇月には出版される予定である。完成祝い、と行きたいところだが、時間が中途半端だし、食べる予定の材料が冷蔵庫にたまっているので、近くで少しだけ飲むことにする。というわけで、以前から気になって…

豪徳寺「祭邑」

原稿の仕上げのため、豪徳寺へ。狭い店内はほぼ満員だったが、幸い壁際の角の席がひとつ空いていた。角の席はテーブルが広く使えるので、仕事には好都合。飲み物は、ホッピー。この店のホッピーは、写真のようにキンキンに冷えたジョッキに氷を少量だけ入れ…

本郷「加賀屋」

ちょっと用事があって、本郷へ。帰りに、「加賀屋」へ寄る。これは、学生時代にときどき来た店だ。少しきれいになったが、さほど雰囲気は変わらない。この日は訳あって酒が飲めなかったので、ホッピーと食事のみ。夜の居酒屋でこんなことは、初めてかもしれ…

「和食れすとらん 天狗 馬事公苑店」「キム・クロフォード・マールボロ・ピノ・ノワール」

今日は、近所(と言っても、自転車で10分ほどかかるが)の「天狗」へ。私は「天狗」チェーンを展開するテンアライド・コーポレーションの株主で、半年に一回、一万円分のチケットが送られてくる。株価は低迷していて、一〇〇〇株で四〇万円を切っているから、…

「幸楽」

北千住へ行った以上は「大はし」か「永見」へ行きたかったのだが、残念ながらお盆で休み。そこで向かったのが、「永見」の斜め向かいにあるこの店。駅の北口を出て左側、ときわ通りにある。永見とよく似た感じの大衆酒場で、料理の種類が多い。空豆、茶豆が…

「徳多和良」

今日は出版社の編集者と、打ち合わせと称する飲み会で北千住へ。まずはイトーヨーカドーの地下のコーヒーショップで二〇分ほど真面目に打ち合わせをしてから、近くの「徳多和良」へ。この店は「割烹くずし」を看板に掲げ、本格的な日本料理を出す立ち飲み屋と…

荻窪「金魚」

高円寺の次は、荻窪へ。ここからなら、タクシーで環八に出て簡単に帰れる。荻窪の北口は、だいぶ変わったとはいえ、ヤミ市の雰囲気を残す一角が残る場所。まずは、有名な屋台の焼鳥屋「鳥もと」へ。焼鳥は、すでに焼いてあるものを焼き直すスタイル。ビール…

高円寺「かみや」

一軒目でモツ焼が食べられなかったので、途中で目をつけておいた「かみや」に入る。ビルの一階ながら、壁面に山型の屋根を取り付け、古びた暖簾と提灯が下がり、まるで一軒家のような雰囲気。看板には「行きに寄ろうか帰りによろか なれば行きにも帰りにも」…

高円寺「バクダン」

今日は大学のオープンキャンパス。お盆の真ん中にオープンキャンパスをやる大学が少ないからか、受験生が大挙して押しかけてきた。一一日と一二日の二日間で、三〇〇〇人を超える盛況。どれだけ受験してくるか、分からないけれど。疲れたので、一人で慰労会…

キリンビール北陸工場

辰口温泉の帰り道に立ち寄ったのが、ここ。工場に「キリンビアパーク北陸」が併設されていて、工場見学の後は試飲をすることができる。キリンラガー、一番絞り、淡麗生など、主力商品を製造する工場である。規模は、さほど大きくない。貯蔵タンクが十数本立…

金沢「四十萬谷本舗」

この店は、金沢の漬け物の老舗。金沢市街の南側、寺院が密集する寺町の裏手に工場と本店を構える。麹味噌と酒粕を合わせた中に野菜を漬け込んだ「金城漬」がメインだが、冬季限定のかぶら寿しも美味。その他にも一夜漬けや魚介類の粕漬けなど、いろいろな製…

辰口温泉「まつさき」

この日は義父の喜寿祝いで、辰口温泉へ。金沢から車で三〇分ほどのこの温泉は、規模が小さく、全国的にはさほど知られていないが、地元の人々にはけっこう親しまれているようだ。この「まつさき」は泉鏡花が執筆の場所にしばしば使っていたという老舗で、広…

金沢「マル源酒店」

子どもの頃から飲んでいた、というわけではない(当たり前だ)。しかし、たいていの料理には酒が入っているわけだから、その味に親しんでいたとは言えるだろう。だから私は、石川県の酒が好きである。石川の酒の特徴は、日本海側には珍しく濃醇タイプであるこ…

金沢「まいもん寿司」

金沢にはロードサイド型の大型回転寿司がいくつかあるが、この「まいもん寿司」金沢駅西本店は、その中でも一番人気の店。ちなみに「まいもん」とは「おいしいもの」という意味である。ネタによってかなり細かい価格設定がされている。安い方では、たまご、…

ホッピーの南限と北限は?

東京で生まれ、長い間、ほぼ東京近辺だけで飲まれてきたホッピーが、最近は全国へと広がりを見せている。先日、金沢の「やまや」でもホッピーを売っているのを発見。訳あって、居酒屋のホッピー事情は確認できなかったが、酒販店で売るくらいだから、飲食店…

珠洲「とんき」

五日間、郷里へ帰省してきた。墓参りや親戚まわり、妻の父親の喜寿祝いなどを終え、最後の夜は金沢で居酒屋めぐりをするはずだったのだが、そこへマンションの管理会社から電話。なんと、わが家が空き巣に入られたとのこと。泣く泣く、急きょ飛行機で帰って…

恵比寿「たつや」

集中講義は、今日が最終日。少し早めに終わって向かったのは、恵比寿の焼鳥屋「たつや」。一階と地下があり、五時少し前にもかかわらず、一階は席が八割方埋まっている。なにしろこの店は、朝八時に開店して、閉店は朝方五時。二一時間営業という店なのであ…

恵比寿「さいき」

今日は、集中講義の二日目。終わった後、聖心女子大の先生二人と恵比寿で飲むことにする。そこで、以前から行きたいと思っていた「さいき」へ。この店について、私が新たに語るべきことはない。数々の文士が無名時代に通った店であること。常連さんが多いも…

恵比寿「縄のれん」

二軒目は恵比寿に移動して、ここ「縄のれん」。ブログではよく取り上げられる有名店だが、私は初めて。年月を経てぼろぼろになった縄のれんをくぐって店内に入ると、右側にカウンター、左側にはソーダの箱に板を載せたテーブルが並ぶ。完全な立ち飲みスタイ…

広尾「ことぶき」

今日から聖心女子大学の集中講義。駅から大学の門まではほんの三分くらいで、その間は広尾商店街。一〇年ほど前来たときは、庶民的な商店街だったという印象があるが、今はけっこうおしゃれな商店街になっている。でも、焼鳥屋があることをしっかりチェック…