橋本健二の居酒屋考現学

居酒屋めぐりは私の趣味だが、同時にフィールドワークでもある。格差が拡大し、階級社会としての性格を強める日本社会の現状を、居酒屋に視座を据えて考えていきたい。日々の読書・音楽鑑賞の記録は、「橋本健二の読書&音楽日記」で公開中。社会学専攻、早稲田大学人間科学学術院教授。

2007-06-01から1ヶ月間の記事一覧

小岩「大竹」

今日は、高校への出前授業で亀戸へ。亀戸周辺の居酒屋でも、と思ったのだが、まだ五時前ということもあって、これといった店が見つからない。そこで下調べしておいた平井の「松ちゃん」を目指したのだが、あいにく水曜日は定休。仕方がないので小岩まで行き…

代々木上原「三貴」

代々木上原はちょっと高級めのレストラン、バーなどが多いが、ここは大衆酒場的な居酒屋。間口が広く、外にも席がある。中に入ると、右側にL字型カウンター、左側にテーブル席。壁一杯に品書きの短冊や木札が下がっている。店内は適度に古び、落ち着いた雰…

野方「秋元屋」

早稲田の「加賀屋」のあとは、浜田さんの案内で落合・野方方面へ。まずは落合の隠れ家のようなバー「日登美」でカクテルをいただいたあと、野方へ。駅の近くの「秋元屋」は、開店してまだ三年だというが、浜田さんに言わせれば「すでに西武新宿線沿線の名店…

早稲田「加賀屋」

四谷とも神楽坂とも違うが、ここに入れておこう。早稲田の「加賀屋」である。実は、三月二五日の居酒屋ブログ対談の続きで、前回は出版社の会議室だったが、今回は最初から居酒屋でやろうと相成った次第。ご一緒したのは前回と同じく、「居酒屋礼賛」の浜田…

「ぐっさん」

西武池袋線の練馬駅周辺は、区役所や文化会館などの施設が集中し、飲食店も多い。練馬区では唯一、繁華街的な景観の場所である。この店は、練馬では「金ちゃん」と並ぶやきとんの老舗で、練馬区役所職員のたまり場。「金ちゃん」ほど広くはないが、混み具合…

人世横丁

今日はもつ焼き屋を梯子しようと思っていたのだが、「みつぼ」で刺身盛り合わせを食べた後では、とてもその気になれなくなってしまった。というわけで、人世横丁の「最上」へ。ワラビのおひたしを肴に、そば焼酎をロックで飲む。今日は特別サービスというこ…

「みつぼ」

住所は南池袋で、ジュンク堂の横を入ったところにある焼きとんの店。一本九〇円の焼きとんは、ふわ(肺)、きく(腸の回りの部分)など珍しいものも揃え、なんと一五種類。一本から注文できるのがうれしい。刺身もレバ、ハツ、タン、ガツ、コブクロと五種類あっ…

経堂ビール「ゴールデン・エール」

これは、私のマンションに併設された小さなブルワリーの製品。スタイルからいうと、上面発酵のエールで、色はアンバー。アメリカ産ホップ特有の、柑橘系のフレイバーがあり、苦みがかなり強い。アメリカン・スタイル・ペール・エールといったところである。…

人世横丁「最上」

人世横丁では、かなり古い方の店らしい。暖簾には田舎風小料理とあるが、ちょっと変わった煮物などを出す。この日いただいたのは、すかんぽと油揚げの煮物。「すかんぽ」は「いたどり」ともいい、たで科の多年草。私の田舎では、小学校の行き帰りの道によく…

「野良犬」の配給ビール

昨日、写真付きで紹介した黒澤作品「野良犬」に出てくる配給ビールだが、『サッポロビール120年史』にラベルの写真が載っていた。一九四〇年、家庭用ビールに配給制が導入され、四二年には、国内のビールメーカー四社と侵略先の海外にあった三社が構成する麦…

「野良犬」(黒澤明監督・1949年)

若い刑事・三船敏郎が、バスの中でピストルを盗まれる。そして、そのピストルを使った殺人事件が次々に起こる。三船は責任を感じ、悲壮な面持ちで東京中を探し回る。犯人の木村功は、仕事のない復員兵。粗末なバラックに住んでいて、盗んだ金で踊り子をして…

神澤柚実子『日本酒ソムリエが通う 東京のizakaya』(青春出版社・2003年・1380円)

若い(たぶん)女性の日本酒利き酒師が、新感覚で女性に喜ばれそうな居酒屋を中心に紹介している。「シンスケ」「きたやま」「串駒」といった、古典的名店も紹介されてはいるが、それは巻末近いモノクロのページでのこと。カラーのページで紹介されているのは…

有楽町「登運とん」

ここまで来たら、ついでに「登運とん」にも寄ってみよう。「うた」はJRのガードとは道を一本隔てた場所だったが、こちらは正真正銘のガード下。創業は一九五三年とのことだから、ヤミ市直系というわけではなさそうだ。奥の席に通されたが、壁が斜めになっ…

有楽町「うた」

二軒目に行ったのは、有楽町のガード近くにあるモツ焼きの店「うた」。道路にまで客があふれる活気のある店である。場所柄、安いというわけにはいかない。モツ焼きは一七〇円、焼鳥は一九〇円。ただし、一串がけっこう大きいので、損した気分にはならない。…

銀座「樽平」

金春通りから細い路地に入ったところにある一軒家。隠れ家のような店である。酒は、店名の通り山形の樽平酒造の「樽平」「住吉」、そして「雪むかえ」。一階はカウンターと大小のテーブル、二階には座敷がある。私が「住吉」を知ったのは、二〇代の中頃だっ…

「きくや」

仕事の帰り、ハイボールがどうしても飲みたくなって、ちょっとだけ「きくや」に寄る。ほぼ満員だったが、隙間になんとか入れてもらった。今日は、なぜか刺身がない。こんな日もあるんだな。ハイボールの一杯目は、いつになくぬるかった。二杯目からはまとも…

「三福」

池袋西口を出て、すぐ。前回は編集者と一緒で二階のテーブル席だったが、今日は一人で一階のカウンターに座る。まずハイボールを注文。これは下町風のハイボールではなく、ウイスキーをソーダで割ったもの。作っているところを見ると、ニッカウヰスキーをペ…

「たつみ」

「たつみ」は下高井戸の名物居酒屋で、駅の近くに二店ある。前回行ったのは本店だが、今回、原稿の束を持って入ったのは駅前店。こちらの方が新しく、面積も広い。まずは、三冷のホッピーをいただく。冷蔵庫にボトルが並んでいるので、樽生ではない。中ジョ…

きびなごの醤油漬

きびなごが旬である。刺身を辛子酢味噌か生姜醤油でというのが、一般的な食べ方だが、一夜干しも格別。これは先日、「道産子」のあとで寄った、新宿やきとり横丁の「きくや」で食べた醤油漬け。かなり味が濃く、焼酎のロックに合う。新鮮なものが手に入った…

「道産子」

新宿西口商店街のパレットビル側、やきとり横丁と思い出横町の入り口に挟まれたところの地下にある。このあたりでは珍しい海鮮料理専門店で、肉類のメニューは馬刺と鶏唐揚げだけ。ホッキ貝、生ウニ、ルイベ、ニシン、ホッケなど北海道の魚介類が中心である…

江古田「一休」で飲むモルツ

今日は、ゼミのコンパ。会場は、江古田駅近くの「一休」。この店は、東京と埼玉に二十三店舗あるチェーン店で、発祥の地は高円寺らしい。東京で一番安いかどうかは分からないが、確かに安い店で、いつも学生たちでにぎわっている。サラダ、つくね、鰹のたた…